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「ママすきじゃない。だーいすき」

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               誰の手も借りることなく2本の足で立った人はいない。
               「だけど…大きくなると、この体の中に、母の乳がなが
               れて赤くなっていることは忘れてしまっていますかね」
               吉川英治の小説にあったセリフを思い出す。


 ▼身過ぎ世過ぎのすべは自分で身につけたものだから-と、すねをかじるだけかじった時代の記憶など、都合良く忘れ去っている。小欄は猛省が必要な忘恩組の一人らしい。きょう13日は「母の日」である。そう聞いて日頃の無沙汰に肩をすくめたご同輩も多かろう。

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                福井県坂井市などが昨年度に公募し、入選作を集め
                て出版した『日本一短い手紙「母へ」』(中央経済社)
                の1通 に「ママすきじゃない。だーいすき」とあった。
                4歳の女の子が母に宛てた手紙という。 「すき」の2
                文字に収まらない母への思いがほろりとさせる。




 ▼無垢(むく)な心情の発露は子供だけの特権でもないらしい。「私がお母さんに一番可愛(かわい)がられたと思っていた。だけど弟も妹も同じことを言うんだよ」。こうつづったのは74歳の男性である。照れや恥じらいを捨て、体内を巡る「母の乳」の温度を確かめてみるのもいい。

 ▼時節柄、思い浮かべるのは拉致被害者の家族である。さらわれた人がいて、涙に暮れた母がいる。長女、めぐみさんの帰りを待つ横田早紀江さんにとってはつらい季節だろう。「お母さんは本当に強いですね」。講演で各地を訪れる度、こう声をかけられるという。

 ▼「私はもう…さんざん、泣いてきたから、最近は涙も出ません」。先日まで小紙に連載された『私の拉致取材 40年目の検証』に、痛々しい言葉があった。母と娘を隔てる歳月に一日も早い終止符をと心から願う。同じ国民として、忘れてはならない「母」がここにも一人いる。【産経抄】

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        このコラム『頂門の一針』素晴らしい!



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