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「作詞AI」

   Tonbo

  人工知能(AI)が作った詩がテレビで紹介されていた。大量の言葉からテーマに即して選んだ単語の羅列という印象ながら、一語一語をうまくつないで流れをつくれば、いっぷう変わったメルヘンチックな詩になりそうにも思えた。


 ▼その番組を見つつ、ぼくは一人の作詞家を思い浮かべていた。阿久悠氏だ。演歌からJポップ風のものまでジャンルにさしてとらわれることもなく、生涯に約5000曲の歌詞を書き、シングルの累計売り上げは6800万枚にのぼるそうだ。

 ▼その作詞法は著書「作詞入門 阿久式ヒット・ソングの技法」でいろいろ明らかにされている。乱読とか、1日1テーマのコラムのすすめなどのほか、ぼくにはボキャブラリーを豊かにという「連想ゲーム」法がとくに興味深かった。これは一つの言葉からどのくらいイメージを広げられるかという遊びのすすめでもあり、なるほどと思わせられた。

 ▼1970年に森山加代子さんが歌った初期の代表作「白い蝶(ちょう)のサンバ」を例に、「蝶とは、いったい何なのか」と問い、思いついた言葉を次のように書き出している。

 ▼浮気者。短命。はかない。ホステス。ストリッパー。虫。標本。コレクター。マダムバタフライ。花畑。弱い。誘惑。貴族。売春婦。刺青(いれずみ)。ステンド・グラス。灯。パリ。ニューギニア。靴下どめ。モスラ。ミヤコ蝶々。原色。快楽。溺れる。

 ▼これら一連の“縁語”からどんどんイメージを広げ、適切な言葉を曲にはめ込んでいく技法で、森山さんが「あなたに抱かれて/わたしは蝶になる」と早口で歌うポップな歌謡曲は当時大変な話題になり、歌も大ヒットした。

 ▼阿久さんは自分の心の中や頭の中には「歌謡曲の言葉がゴチャゴチャに入っています。玩具(おもちゃ)箱です」と別の著書にも書いておられた。5000曲の作詞というのは、氏の作詞法からみても大変な数の言葉を要したであろう。頭の中に詰め込まれた言葉たちは、今か今かと出番を待っていたのではなかろうか。

 ▼若手の音楽プロデューサーの間で、AIの作る音楽がよく話題になるそうだ。阿久さんが健在だったら「作詞AI」に競争心を燃やす場面があったかもしれない。(客員編集委員)

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       人工知能(AI)の近未来は?
       薔薇色の世界がくるのかなぁ


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