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イブキングの「ご講話」がアツい! あいつもこいつもバサバサと切り捨てる長老の怪気炎

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           「イブキング」こと伊吹文明元衆院議長

 

 






 ▼政治家は言葉が命などといわれるが、毎週のように、ひそかに教養あふれる「ご講話」を披露している長老議員がいる。自民党の伊吹文明元衆院議長(79)。最高顧問を務める二階派の例会で、その時々に話題となっている時事ネタを憲法や日本の伝統文化いった大所高所の観点から、斬りまくっているのだ。

(※4月24日にアップした記事を再掲載しています)

 ▼自民党の二階俊博幹事長が会長を務める二階派(志帥会)の例会は、原則として毎週木曜日、東京・平河町にある砂防会館別館3階の派閥事務所で開かれ、冒頭の幹部のあいさつがマスコミに公開されている。司会を当選回数の浅い若手議員が務め、会長代行の河村建夫元官房長官、二階氏、会長代行の中曽根弘文元外相があいさつ、そして伊吹氏の講話-というのが基本的な流れだ。

 ▼以前は司会が「伊吹最高顧問からごあいさつを…」と促していたが、衆院議長を経て派閥に復帰した伊吹氏が「私はあいさつはしない。みなさん(派閥所属議員)に役に立つ講話する」と宣言して以降、「伊吹最高顧問からご講話をお願いいたします」とするのが慣例となった。

 ▼王者の風格を漂わせる格調高い言動で、議長時代から「イブキング」との称号をほしいままにしてきた伊吹氏。その舌鋒は、“自由の身”となった現在でも、誰かに対する遠慮などみじんもない。

 例えば政界で「1強」といわれる安倍晋三首相にも容赦しない。

 ◆「保育園落ちた。日本死ね」とのブログをめぐる論争が盛んだった平成28年2月、首相が衆院予算委員会で山尾志桜里氏の質問に「匿名である以上、実際起こっているか確認しようがない」と答えて、野党から「冷たい」とブーイングを浴びた。

 ◆首相はその後「待機児童の受け皿作りは、政権交代前の倍のスピードで進めている。保育士の待遇改善に取り組みたい」と丁寧に説明する方針に転換したのだが、伊吹氏は同3月の派閥例会で、「最初からパッとやっておけばトラブルは起こらない。後先を見極める能力を身につけてほしい」とバッサリ。

 ▼今国会のホットトピックとなった学校法人「森友学園」(大阪市)の国有地取得問題と学園の籠池泰典氏の証人喚問では、伊吹氏は安倍首相の昭恵夫人について「昭恵さんは、行為については、批判や意見があると思う」と堂々と皮肉った。

 ◆その一方で「バラエティー番組みたいなことを国会がやっていては、どうしようもない。非常に恥ずかしい」と述べ、「籠池さんは不動産の取得の当事者で、特捜が入ることになった。昭恵さんは法律の話ではない。次元が違う」と整理してみせた。

 ▼東京都政に関しては、舛添要一前知事を「日本の道徳」、小池百合子知事を「民主主義と衆愚政治」の切り口から論評した。舛添氏は政治資金の使途について、違法性よりも公私混同が批判された。

 ▼伊吹氏は「法律で許されても、やってはいけないことがある。伝統的な定めや道徳というものだ。これをしっかり持っていないと、人から後ろ指を指されたり、法律で罰せられないが『お天道様の下を歩けない』などと言われることになる」と指摘。「記載義務を課されているから、人の目に映る。

 ◆『セコいやつだ』とかいろいろ言われると困るから、自分に厳しく判断すべきだ。今回は違った。自分に厳しくない人が権力を持った組織は非常に怖いことになる」と述べ、舛添氏が急速に都民や国民の支持を失った原因を解説した。小池氏に関しては、古代ギリシャ時代のから民主主義の弱点として語られている「衆愚政治」と絡めて危うさを指摘した。

 ▼今年1月、トランプ米大統領就任に当たっては「目先のことではなく少し将来を見据えて、自分のことではなく全体のことを考えながら多数決を行使しないと、こいつが悪いんだという国民の感情をあおりたてながら権力を握ろうという政治家が出てくると、民主主義は衆愚政治の製造機械になり果てる」と述べた。そのうえで、「それが欧州、米国、東京都知事選でも起きた」と語り、自民党東京都連を敵に見立て支持を集める小池氏をトランプ氏に重ねた。

 ▼この日は伊吹氏はさらに、「米国という国は、原住民の生活と土地を奪い取って作られた移民国家だ。それがいまや、最初の移民が次の移民に苦しめられている」と米国の成り立ちと現状の皮肉ぶりを紹介。「市場経済、競争原理も自己抑制と矜恃を持って動かさないと、結局、勝った者が偉い、もうけた人が良いんだという仕組みになる」と経済のあり方にまで警鐘を鳴らした。

  憲法論と三権分立による整理も伊吹氏はよく用いる。

 ▼昨年10月、山本有二農林水産相が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)承認案をについて「強行採決するかどうかは議院運営委員長が決める」と述べて野党が反発した際には「憲法」を盾にこう反論した。

 ▼「強行採決をしませんね、ということを、予算委員会で首相に聞くのはどうにかしている。採決するかは国会が決める。安倍首相が決めるのではない。議運委員長、国会役員が決めるのは、憲法の法理から言えば当たり前のことだ」

 ▼野党だけでなく、政府にも矛先は向かう。テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法改正案の国会審議をめぐり「法案提出後に議論すべきだ」とする法務省による報道機関向けの文書について、国会議員の国政調査権を規定した憲法62条と国務大臣による国会出席義務を規定した憲法63条を根拠に、「憲法の規定によれば、法律が出ていなくても、あるいは予算と関係なくても聞かれたことには答えなければならない」と解説。「法務委員会で法案が出たあと質疑をしてくれなどということを文書にして出すと、これはやっぱり憲法上の問題になってくる」と述べた。

 ▼天皇陛下の譲位をめぐっては、憲法にある「国民の総意」をもとに、国会での各党の合意形成を早くから提言していた。時には伊吹氏が10分を超えて話し派閥幹部がウトウトする場面もあるが、若手議員にはよい教訓になっている。【政界徒然草】 

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      政治部(沢田大典)記者の筆致は『的を射る』

      珍念のコメントは 『恐れ入谷の鬼子母神』

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