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「暖簾」

Norenn


     昆布商浪花(なにわ)屋(や)から「のれん分け」で独立した
     吾平は借金をして建てた工場を水害で失う。再建の融資を
     銀行に懇願した。抵当はあるかと支店長に問われて答える。

     〈浪花屋の暖簾(のれん)だす、大阪商人にこれほど堅い
      抵当はほかにおまへん〉




◆山崎豊子著「暖簾」の一場面だ。明治から昭和の激動期に全国一の昆布商を築いた大阪商人の物語。〈暖簾は商人(あきんど)の命だす〉と吾平が訴えると支店長は〈結構な抵当だす、お貸ししまひょ〉と応じた。大空襲で全焼した際にも吾平は暖簾を抱えて逃げた

◆企業の将来性やブランドなどの価値「のれん代」は企業買収の際、買収額と相手企業の純資産との差額にあたる。資産に計上するが収益に貢献しなければ不良資産になる。東芝が買収した米原発会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)ののれん代は3500億円だった

◆福島の事故で世界的に原発ビジネスが停滞し、WHは業績が悪化した。本来なら東芝はのれん代の価値を見直し損失処理をすべきなのに怠ってきた。WHは遂に破綻し、東芝は巨額の損失を負う。半導体事業を売却する再建計画も行方が混沌(こんとん)としてきた

◆経営幹部が「一筋の光も見えない」と頭を抱えるのも無理はない。東芝ののれんが風雨にさらされ破れそうだ。先の物語に戻れば、主人公の2代目はこう考える。暖簾に安易にもたれれば没落する。信用と重みで人のできない苦労、立派なことができた人間だけが暖簾を活(い)かせるのだ、と。【斜面】

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「暖簾」商品の説明 内容紹介

 一介の丁稚から叩きあげ、苦労の末築いた店も長子も戦争で奪われ、ふりだしに戻った吾平の跡を継いだのは次男孝平であった。孝平は、大学出のインテリ商人と笑われながら、徹底して商業モラルを守り、戦後の動乱期から高度成長期まで、独自の才覚で乗り越え、遂には本店の再興を成し遂げる。親子二代“のれん"に全力を傾ける不屈の気骨と大阪商人の姿を描く作者の処女作。

トップカスタマーレビュー

温故知新  投稿者  Joe

 『華麗なる一族』や『白い巨塔』の著者である、山崎豊子氏の処女作。けど処女作からこれほどまでの作品を書かれていたとは正直驚きました。この本に出会うキッカケは、『金持ち父さん、貧乏父さん』という本のレビューを見ていて、その中である方が薦めていたからでした。

 『暖簾』と『金持ち…』、そこで述べられる職業(ビジネス)に対する価値観は正反対である。それらについての是非は各々いろんな意見があるとは思うが、僕は率直に前者の心意気でこれからの人生を歩んでいきたい。

親子二代に渡る昆布商人  投稿者  電電虫 

 明治から昭和に駈けて大阪を舞台に昆布製造販売を手掛けた親子二代の物語。淡路島から単身大阪へ出て偶然に昆布問屋の丁稚に採用してもらった八田吾平。真面目に働き頭角を得て暖簾分けを受ける。大阪大水害、関東大震災を乗り越えるが太平洋戦争の空襲で全てを失う。次男に託した暖簾を守り見事復活を果たす。大阪商人のど根性物語と言ってもよい。果たして暖簾とは何か。暖簾を守るということはどういうことかを教えてくれる

『過ちを悔いるのに憚る事なかれ』の格言が、(珍念)の脳裏に思い浮かぶ。

 吉川英二の「新水滸伝」の中に「宋江」率いる、梁山泊の勇士が悪代官の「祝家荘」を攻めていた時。「祝家荘」の周りは<八幡の藪知らず>の竹林でした。行けども、行けども 敵の本陣に辿り着かず・・迷路にさ迷い、敵の待ち伏せや奇襲攻撃で全滅の危機に陥った時 しまつた・・我過てリ・・(過ちを悔いるのに憚る事なかれ)の通り、全軍総退却したそうです。



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    『既往は咎めず』 
東芝・・・頑張れとエールを送ります!  





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