« 入院させない | トップページ | 近くて遠い »

ある新聞の記事

    Photo_2

 人と人の願いをつなげる。新聞にはそんな役割がある。高知新聞の記事にその思いを強くした。20日付の朝刊に載った「高知出身の漫画家中西さんの遺族捜す 師匠が遺作の書籍化企画」である。以下内容をかいつまんで紹介すると―

   ◆

 中西章文さんは人気漫画家、はやせ淳さんのスタッフだった。1982年に月刊漫画誌「ガロ」で念願の漫画家デビュー。作品が単行本になる日を夢見ていたが、胃がんのため42歳で亡くなる。やがて時がたちはやせさんは遺作の電子出版を思い立った

   ◆

 それには遺族の承諾が必要だが、連絡がつかず所在が分からなかった。はやせさんが遺族を捜すため経緯や思いを漫画に描いて17日にツイッターに掲載。高知新聞の記者がこの「尋ね人」を記事にしたところ、高知市在住の長兄茂夫さんが新聞を読み、その日のうちに名乗り出た

   ◆

 今は少なくなったが、昭和の時代は新聞の広告欄に「尋ね人」が頻繁に載った。家出して消息不明になったわが子の名前と〈早く帰れ心配している〉〈母危篤、連絡ください〉などのメッセージ。短い文章には人生の断面と切実な思いが凝縮されていた

   ◆

 作家の佐野真一さんが著書「紙の中の黙示録―三行広告は語る」で書いている。一億人の中のたった一人に向けたこの短冊型の広告は真っ暗な深海に光を投げる探照灯にたとえられる、と。中西さんの兄は自宅に遺作を保管し、いつか世に出せないかと考えていたという。その願いが実る。<斜面>

:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+:;;;:+*+

「紙の中の黙示録―三行広告は語る」新聞の片隅に載せられた三行広告。報道記事にはない、わずかな情報の向こう側に隠された実相を追った傑作ノンフィクション。
この本の内容商品の説明 内容(「BOOK」データベースより)

 新聞の片隅に載る、尋ね人、求人、おわびなどの三行広告。ほんのわずかな活字の背後に潜む人間模様と社会の深層。そこには、昭和末からバブルに浮かれた頃の日本の本当の姿が見えてくる。外国人労働者や日雇い労働者の問題、求人情報の裏側、伝言ダイヤルなど、華やかさとはウラハラな時代の基層をリアルに描き出した傑作ノンフィクション

トップカスタマーレビュー

 26年以上前に発表された作品だが、時代を知ることの出来る貴重なルポである  投稿者 TaroTaro

 毎日のように新聞に掲載されている三行広告。ここでいう三行広告とは、尋ね人、求人、不動産売買、死亡広告、お詫び広告などの怪しげな広告のことである。死亡広告自体は怪しいものではないが、新聞に広告が出るまでの広告会社や葬儀会社などが繰り広げるやりとりを知ると、やはりこれも怪しい世界である。

 この作品はこれらの広告をめぐる人間模様や広告業界の裏側を描いたルポであるが、こういった一癖も二癖もある世界は、著者独特の粘りつくような文章とチョット皮肉な視点に相応しい題材であり、著者の体臭が感じられるような個性的な作品である。もっともそれが嫌いな読者もいるのだろうが…。

 文庫化は‘03年だが単行本として発表されたのが‘90年と15年以上前なので取り上げられた出来事や内容に時代を感じさせる部分もあるが、その時代を知るという視点で考えれば何も問題はなく読むことが出来る。他のレビュアーも触れているとおり新聞以外の媒体も取り上げているためややまとまりがないが、これも15年も経つとその時代を知ることに出来る資料といえる。

 近年の著者は、著名人を取り上げた作品や大作が多い。勿論それも読み応えがあっていいのだが、もうそろそろこの作品や「業界紙諸君」といった、いい意味でのフットワークの軽いルポを発表して欲しい。でも著者も年をとったし有名になったからもう無理かもしれない

  新聞の広告記事から見えてくる社会の裏側  投稿者  仁岸 稔

 本書は、新聞の広告記事をめぐるドラマや、広告業界の裏話やその裏側を取材したノンフィクション。新聞の広告記事といっても、求人や尋ね人、お詫びなども含まれ、凝縮された情報が掲載されていますが、時代背景も踏まえ、その活字の持つ意味合いを感じさせられます。情報媒体を幅広く取り上げているため、項目が多くなりすぎていたのは、ややまとめりがないようにも思いましたが、佐野眞一らしい社会の裏側を書いたノンフィクションです。


 斯く言う(珍念) 『論語読みの論語知らず』  モジモジ(。_。*)))
 

« 入院させない | トップページ | 近くて遠い »