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あの時のラーメンの味

        Ramen

▼鉄工所勤めの友人・K少年が突然、帰郷すると別れを告げに来た。Kも集団就職組。どうも様子がおかしい。ラーメン屋へ誘った。Kはラーメンを一口すすると告白した。「おれ、結核なんだ」

▼「大丈夫だよ、そんなもの」。出久根少年はとっさにKと自分の丼を取り換え、Kが箸を付けたラーメンをすすった。「Kの、あっけにとられた、ついで、目をうるませた顔を忘れない。あの時のラーメンの味も」(随筆集「いの一番」から)

▼60年3月26日付本紙に水戸駅の集団就職列車出発式を伝える記事を見つけた。一行は総勢約600人。駅構内は人であふれかえったとある

▼写真には列車の窓から身を乗り出し見送りの家族らと別れを惜しむ詰め襟やセーラー服姿が写る。彼らにも上京後、出久根さんのような生涯忘れ得ぬ青春の物語があったのかもしれない

▼そんな集団就職の時代を舞台にしたNHKの朝ドラ「ひよっこ」の放映が間もなく始まる。年老いたK少年もご存命ならきっとどこかであの時のラーメンを思い出すに違いない【いばらぎ春秋】

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Photo


                 珍念、感動しました。
                 これ以上は『蛇足』

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