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「定跡」~「次の一手」は!

 

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 デビット・ゾペティさんはスイス出身で日本に暮らす作家。日本語で書いた『いちげんさん』は、京都を舞台に外国人学生が盲目の女性と恋に落ちる物語だった。そこには、主人公が「ガイジン」扱いされることに閉口する様子が何度も描かれている

▼日本語の本を読んでいると<変なサラリーマンが後ろから『オー・ユー・ジャパニーズ・カンジ・オッケー?』とわけの分からないことを得意げに話しかけて>くる。修学旅行生には「外人だ。ハロー」を連発される-。自身の体験でもあったのだろう

▼将棋で初の外国人女流プロ棋士となったカロリーナ・ステチェンスカさんも苦労したと想像する。ポーランド出身の25歳。研修会に通う電車の中で泣くこともあったとか。勝負の悔しさだけではなかろう

▼それにしても、彼女と将棋の出合いが漫画だったというのは面白い。アニメやゲームなどクールジャパンといわれる近代大衆文化を入り口に、将棋という伝統文化に興味を持って来日した。観光戦略のヒントでは?

▼京都巡りや秋葉原での買い物が訪日客の「定跡」だったが、徐々に行動が多様化し「次の一手」を求められている。それが体験と参加。ゾペティさんの書いた20年前ならいざ知らず、外国人受け入れに抵抗感を抱く時代ではない。【河北春秋】

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      このコラム『目から鼻へ抜ける』お見事!



『いちげんさん』 商品の説明  受賞歴 第20回(1996年) すばる文学賞受賞

 内容紹介:京都の大学で日本文学を専攻する留学生の「僕」。目の不自由な若い女性・京子と知り合い、次第に彼女と恋に落ちていく…。すばる文学賞受賞のセンシティブな恋愛小説。(解説・沼野充義

トップカスタマーレビュー

キリッとした清潔感。  投稿者  カスタマー 

◆日本人にとってさえも排他的な感じのする京都の街。 たとえ京都で何年も生活していようと、外国人留学生にとって容易に理解できるものではないでしょう。 その理解できないもどかしさが、決して大げさにではなく静かに語られています。

 ヒロインが視覚障害者なのは、ある種のメタファーなのでしょうか? しかし、そのことが物語にキリッとした清潔感を与えています。

「いちげんさん」について  投稿者  素民喜琢磨   

◆全ての日本人に読んで頂きたい本です。ゾペティさんは在日外国人がよく経験する「外人扱い」について上手く書いたと思った。私も「僕」と同じ気持ちです。やっぱり、京都だけではなく、日本全体は同じでしょう。ゾペティさんが主張しているのは、真の国際化とは英語を話すことではなく、本当の意味で外国人を受け入れることでしょう。京子さんのような日本人が増えるといいなと改めて感じました。

「いちげんさん」というタイトルが秀逸  投稿者sasabon

◆すばる文学賞受賞作であり、芥川賞の候補作となっていたのは知っていましたが、外国人作家が書いた日本語の小説という話題先行のイメージを持ってしまったため、最近まで手に取ることがなかったのが悔やまれるほど実に魅力的な小説でした。

 解説の河野充義氏が書いているように、「外国人」だと決めつける視点がすでに本作の根幹テーマであるわけです。静かに「僕」の内面を描写していく手法は村上春樹的だと読みながら感じ、官能的な箇所は谷崎純一郎や安部公房的だなと感じていたら、河野氏も同様の印象を持っていました。

 ゾペティのバックグラウンドにそのような豊富な文学体験があったのでしょう。卒論が志賀直哉の「暗夜行路」ですから、私小説の世界への傾倒ぶりは作者の本質だと見てとりました。

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       珍念のコメントは『蛇足』。

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