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薬で読み解く事件史

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        徳川家康は75歳の天寿を全うした。当時としては驚くべき長命を
        可能にしたのは、医薬に寄せる関心の深さだった。医学の歴史に
        詳しい作家の山崎光夫さんによると、家康はいくつかの秘薬の復
        元にも成功している(『薬で読み解く江戸の事件史』東洋経済新報社)。





 ▼なかでも名薬とされた「紫雪(しせつ)」は、17種の生薬を調合した解毒解熱剤である。孫の家光が3歳のとき、原因不明の病にかかり、医師も手の施しようがなかった。見舞いに来た家康が紫雪を処方すると、ようやく回復に向かったという。

 ▼現代では、そんな家康も目を丸くするような革新的な新薬が、次々に誕生している。しかも家康のような権力者でなくても、恩恵にあずかれる。ただ開発には莫大(ばくだい)な費用がかかる分、薬の価格が跳ね上がるのが難点である。たとえば、がん治療薬「オプジーボ」は患者1人あたり年間約3500万円かかるとされ、社会保障費をめぐる議論まで引き起こした。

 ▼高額な薬は、犯罪も誘発する。昨年発覚したC型肝炎治療薬の詐取事件もその一つだった。医療費が無料になる生活保護制度を悪用して、医師から数百万円相当の新薬「ソバルディ」の処方を受け、卸業者に転売する手口である。

 ▼今回は、やはりC型肝炎の治療薬である「ハーボニー」が狙われた。2年前に販売が始まった1錠約5万5千円の新薬は、劇的な効果と副作用の少なさを併せ持つ。その偽造品が、奈良県の薬局で見つかった。正規品のボトルから、中身の錠剤だけがすり替えられていた。流通経路で紛れ込んだとすれば、全国に出回っている可能性がある。

 ▼「薬で読み解く平成の事件史」がいつか書かれるとすれば、一章が割り当てられる大事件に発展するかもしれない。【産経抄】

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『薬で読み解く江戸の事件史』
商品の説明 内容紹介

●家康が配合した「萬病圓」は江戸一の名薬だった/●漂泊の俳人・小林一茶が愛飲した強壮薬の正体/●幕末の歴史を変えた島津斉彬怪死の謎を解く/●天然痘から急死へ、孝明天皇の容態書を読み解く薬が動かした知られざる日本史秘話!

トップカスタマーレビュー

だから歴史は面白い!!  投稿者  Donkey ears

 医学・薬学系に強いライター山崎光夫氏の"薬"を中心とした江戸小史集。多くは「オール読物」や企業広報誌に連載されたものの再掲だが、「幕末期 光明天皇怪死の謎を解く」のみ、本書の書き下ろし。

 時代劇等では、殿様や将軍の毒殺などはよく出てくるのだが、ドラマの世界でのことと割り切って見ていた。しかし、現実の世界でそれがあったとは意外だ。天皇、将軍や大名などは、警護の必要上から、側に仕えるのは身元の確かな信頼出来る者ばかりの筈。

  その身辺が用人が怪しいとなれば、どうしようもないだろうな。公武合体論を潰すために、先ずやったのは天然痘に罹患させること。それが侍医の懸命の治療で治癒したら、次は毒を盛る。毎日の生活の世話をする用人にそれをやられたら、いくら名医としても、手の打ちようがなかっただろう。本書では私はこの一節が最も興味深かった。

島津斉彬急死の真相、孝明天皇急死の黒幕  投稿者  榎戸 誠 

  『薬で読み解く江戸の事件史』(山崎光夫著、東洋経済新報社)は、薬をキーワードに江戸時代の事件や人物を浮かび上がらせた裏面史である。かねて、島津斉彬の急死は暗殺なのではないかと関心を抱いていたので、「島津斉彬怪死事件の謎を解く――幕末の歴史を変えた『英明の君主』の死」を興味津々で読み始めた。

  「島津28代藩主島津斉彬は、幕末の開明藩主として、『三百諸侯中、並ぶ者無き英明の君主』と高く評価されている人物である。この英明藩主は、時代を担うエースとして期待され、人望も力量もあったものの、安政5年(1858)に急死してしまう」。

「その死はあまりにも唐突に発生した。時が時である。斉彬が病床に臥す原因となったのは、『島津斉彬公傳』にある通り、天保山で行なわれた大操練に炎天下、馬を走らせ陣頭指揮をとったことである。大操練の目的は、大老、井伊直弼の暴走をやめさせるためだった」。斉彬の異腹の弟・久光を藩主にしようと画策する一派による毒殺が疑われているが、著者の見立ては意外なものであった。斉彬の治療に当たった蘭方医・坪井芳洲による克明な「容態書」を読み解くことで真相に迫っていく。

  「蘭方医だけあって、芳洲は西洋医学的薬物を用いた処置を施している」。芳洲は、当時流行していたコレラと診断したが、著者の見解は異なる。「芳洲の『容態書』から想像するに、病気は赤痢が最も疑われる。・・・さらに、食中毒、なかでも腸炎ビブリオが疑われる」。芳洲の臨床医としての腕はよくなかったこと、芳洲も斉彬も漢方医学を忌み嫌ったこと――が、斉彬の死を招いたと結論づけている。経験を積んだ熟練の漢方医であれば救えたかもしれないというのである。

  これまた、毒殺説のある孝明天皇の急死については、「幕末期・孝明天皇怪死の謎を解く――天然痘から急死へ、容態書を読み解く」に詳しい。「誰かが毒性の強い痘瘡ウイルスの付着した『美しい布』を天皇に押し当てたにちがいない。

  種痘経験のない温室育ちの天皇はたちまち痘瘡に罹患して病床に呻吟した。かくして、(公武合体を阻止しようとした)暗殺一派の計画は成功した。いや、成功したかに見えた。ところが、天皇の発病6日後に紫雪という名の薬が処方されてから、痘瘡は治癒に向け順調に推移し始めたのである。紫雪は解毒効果の高い名薬だった」。

  ところが、天皇の容態が急変する。『孝明天皇紀』、主治医だった伊良子光順の『拝診日記』、『中山忠能日記』などの病状報告の記述から、「天皇の病状の急変を検証すると、毒物を盛られて暗殺された可能性が高い」と結論づけている。そして、使用された毒物は斑猫(はんみょう)だったろうと推理している。「毒物――というよりこれは中国の古医学書にも載っているツチハンミョウ科の昆虫だった。

  カンタリジンという刺激性の毒物を体から分泌する。・・・少量を用いれば薬になる。しかし、この斑猫を大量に飲まされたなら、腹痛、下痢、吐血、血尿、血圧低下、呼吸不全などの症状をきたし死に至る。孝明天皇の一連の症状と符号する。これには解毒効果の高い、さしもの名薬、紫雪も用をなさなかった」というのである。

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                 珍念の脳裏に【薬九層倍】の言葉が思い浮かぶ

        くすり-くそうばい【薬九層倍】の意味 新明解四字熟語辞典





●暴利をむさぼるたとえ。薬の売値は原価よりはるかに高く、儲もうけが大きいこと。薬は売値が非常に高く、原価の九倍もするという意から。

●薬九層倍の用例 薬九層倍というのは、あれは製薬会社と医者のことで、薬の小売店じゃそうはゆかねえんだそうだな。<丸谷才一・笹まくら>

      Inutoboudu
            

      毛生え薬。頭のよくなる薬。難病に効く薬。発明して下され~い!
      珍念・・・『ごまめの歯軋り』・・・・・!

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