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「聞き手があつてはじめて挨拶(あいさつ)がある」

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       スピーチの名手として知られた作家の丸谷才一さんは結婚披露宴
       でも文学賞の受賞パーティーでも、はたまた葬儀でも、スピーチを
       頼まれたら事前にきちんと原稿を書いて臨んだという




▼つまらぬ話をして、その場に集まった人々の時間を無駄にしてはいけないと思うからだ。「常に相手を考へて何かを言ふ」「聞き手があつてはじめて挨拶(あいさつ)がある」(「挨拶はたいへんだ」朝日文庫)。その真面目さと謙虚さを見習いたい

▼トランプ大統領が就任演説で米国第一主義を高らかに宣言した。同じ場所でオバマ氏が「世界が小さくなるにつれ、われわれに共通の人間愛が現れる」「米国民一人ひとりが自分自身と自国、世界に義務を負う」と訴えてから8年。こうも変わるものか

▼オバマ氏の演説が理念や理想を語ることに多くを費やし、やや難解だったのに対し、トランプ氏の演説内容はサービス精神にあふれ、率直で分かりやすかった。なるほど米国民は「名より実」を選んだのだな、とあらためて思った

▼トランプ氏は「私は全身全霊で、皆さんのために戦う」「米国は再び勝利し始める」「いまだかつてないほど勝利していく」と畳み掛けた。だが勝者になるとは敗者を生み出すことでもある。挑戦状を突き付けられたと感じる人もいるのではないか

▼就任演説を聞こうと夜更かししたものの、トランプ氏が聞き手として想定したのは自国民だけだった。8年前に比べ米国はいささか色あせ、縮んで見えた。【北斗星】

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               「挨拶はたいへんだ」
商品の説明 内容紹介


  名スピーチの見本帖『挨拶はむづかしい』『挨拶はたいへんだ』を復刊して一冊に。 結婚披露宴、友人の葬式での弔辞など、あらゆる場面での自らのスピーチの実例を87例掲げ、その心得を指南する。野坂昭如、井上ひさしとの対談も収録。

トップカスタマーレビュー

  自分定めを、短く早く   投稿者  加賀谷昌樹 

丸谷才一と井上ひさしの対談 (「スピーチでできること」) を教科書のように繰り返し読み返している。井上によれば本書はエッセイであり小説であり評論であり自伝であるという。当時の文化人の幅広い交友関係を示す歴史資料としておもしろい。丸谷は桐朋学園音楽科とちょっとした縁があり、音楽評論家の吉田秀和やピアニストの中村紘子のために書かれたスピーチ原稿はめっけものであった。

  作曲家の柴田南雄は著書の「わが音楽わが人生」のなかで、中村が4歳のとき、音楽教室の女の先生達が中村のピアノ演奏を聞いて思わず歓声をあげたという情景を描いている。井上がスピーチをするときに心がけていることは、自分が、なぜ、どういう立場で、どういう資格で、どういうところでスピーチをしているのかということを、ほんとに短くぱっと言うことだという。

  「自分定めを、短く早く」とも井上は表現している。丸谷の本から学んだこととして、長い前置き、意味のない四字熟語、一般論、抽象論をやめること、具体的なエピソードやゴシップであいさつを展開すること、話が散漫になっていないかチェックするために原稿に対して題名をつけるということを挙げている。

  じわっとくる言い回し 投稿者Kiri

  「挨拶はむづかしい」「挨拶はたいへんだ」の2冊の名スピーチ本を合本にしたもの。文庫で1000円かと躊躇したものの、500ページ以上のボリュームでお得な1冊だった。相手をよいしょすることなく立てつつ話し手の個性も光る丸山才一氏のスピーチ。すぐに真似はできないけれど、じわっとくる引き際も美しいスピーチは読んでいて心地よい。

  2001年の井上ひさし氏との対談で(政治家には)言葉の力で説得してほしいと語る丸山氏。ようやく時代が追いついたのでしょうか。


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      【一言居士】
の珍念・・・『恐れ入谷の鬼子母神』 




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