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厄介な人

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         感情に火がつくと、人の行いは色よい果実をもたらさない。




 ▼ある農夫が、農園を荒らし回るキツネを捕まえた。前から腹に据えかねていたらしい。尻尾に火をつけて野に放っている。むごい仕打ちを見ていた神様は、七転八倒するキツネを農夫の丹精した麦畑に導いた。実りを告げる金色の穂波がどうなったかは、お察しの通り。怒りに任せた行動にはしっぺ返しが待っている。

 ▼このイソップ物語に重なるのは、直情径行を地で行くトランプ次期米大統領にほかならない。「米国に工場を造れ。さもなくば高い関税を払え」とはメキシコに新工場建設を計画するトヨタ自動車への批判だが、「従わねば火だるまに」との脅しに聞こえ、手法としては愚劣に映る。相手はキツネではない。豊田章男社長の言葉を借りれば「良き企業市民」である。

 ▼フォード・モーターにも同じ脅しをかけ、メキシコ工場の新設を頓挫させているから見境がない。トヨタが米国内の生産拠点で13万人以上を雇用している現実は、どうやらトランプ氏の胸に響いていない。貿易摩擦の懸念も、自説を改める材料にはならないのだろう。つぶやき一つ、指先一つで世界的企業の足元に火をつける。厄介な人に権力を与えたものである。

 ▼経済とは-。飲みもしないウイスキー一樽(たる)をはるかに値の張るメス牛1頭分のカネで買うことだと、A・ビアスは書いた。100年も前の風刺をトランプ氏が真に受けたわけではあるまい。自国の経済にとって芳しいことはないはずだが、「米国第一」の熱で燃え立つ感情の矛先は安価な品を生む海外の生産拠点に向かっている。

▼日本の経済界が期待感に浮つくのも考えものである。トランプ相場の先に待つのは「火の車」ということもある。【産経抄】

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     このコラム『的を射る』




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