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悲愴(ひそう)な社会

Onibi


          強い雨にたたかれて起こる湖面のしぶきが、鎌首を
          もたげた数千の蛇のように迫ってくる-。横溝正史の
          小説「鬼火」から恐ろしげな表現を一つ借りた









◆作中では、直後、男が死ぬ。探偵小説はこうして、自然の振る舞いをおどろおどろしく描くことで、今から起こるであろう変事を教えてくれる。行間ににじむ殺気と悪意を感じ取り、ページをめくる読者の手も慎重になる

◆現実では気付くわけもないだろう。人混みに潜む何かが、鎌首をもたげた蛇のように自分を狙っているなんて。大阪のJR新今宮駅ホームで、女性2人がいきなり背中を押され、1人が線路に落ちた

◆すんでのところで、電車が止まったからよかった。助かった人は恐怖に震え「女性だから狙われたのなら悔しい」と語っている。無差別の悪意はたいてい、自らより弱い者に向かうのも腹立たしい。きのう、殺人未遂容疑で28歳の男が捕まった

◆「人の性は悪にして、その善なるものは偽なり」。人間の本性は生まれながらにして悪だという「性悪説」を唱えたのは、中国の思想家、荀子(じゅんし)だった。点滴袋に穴、いじめに虐待と、悪意について考えさせられる事件が昨今、あまりにも多い

もしホームから突き落とされたら-。万一の対策をワイドショーに学びながら、なんと悲愴(ひそう)な社会だろうと思った。【正平調】

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珍念の脳裏に(手塚治虫)の名言が思い浮かぶ!

 悪魔は脳細胞の中に:自然への畏怖をなくし、傲慢になった人類には、必ずしっぺ返しが来る誰でもやがては死んでいくこと。寿命には限りがあること。一生の間に精一杯の生活をすること。そして他人の生命をおかさないこと

 自然や人間性を置き忘れて、ひたすら進歩のみを目指して突っ走る科学技術が、どんなに深い亀裂や歪みを社会にもたらし、差別を生み、人間や生命あるものを無残に傷つけていくか自然への畏怖をなくし、傲慢になった人類には必ずしっぺ返しがくると思います。

 科学とは本来、人間を幸福にするための技術です。なのに、いつの間にか科学の発展は人間のしあわせを置き去りにしてしまいました。



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 ↑:新しい命をガラス容器の中で作り出そうとしているこの場面。

ここには科学万能が生命の尊厳など二の次にしてしまう恐怖があります。

 科学が「人類のしあわせ」ではなく、「科学者たちのためだけのしあわせ」を追求しはじめたとき、地球は破滅の口を開くのかもしれません。そこへと誘う悪魔はいつも、「科学」と向かい合う人の頭の中に潜んでいます

 コンピュータの利用度がますます増大して、人間は生産や頭脳労働から解放される、というより、追放されるか、もしくはコンピュータに管理される奴隷のような存在になるかもしれない。そうなれば、ロボットは人間、つまりあなた自身のことになるかもしれませんよ。(アンドロイド・『鉄腕アトムの未来学』週刊読売掲載エッセイより)

珍念の余計な、お節介です・・・・ (@_@;)

「鬼火」 商品の説明  内容(「BOOK」データベースより)

 漆山万造と漆山代助。従兄弟同士でありながら、お互いに憎みあい、呪いあって育ったこの二人の画家は、今また妖婦・お銀を巡って対立する。愛憎渦巻く凄惨な地獄絵図の結末は…?闘病生活のかたわら一日一枚ずつ書き継いだといわれる鏤骨の名篇「鬼火」のほか、美少年の妄執を浮彫りにして、谷崎に伍す、と評された傑作「蔵の中」、月光が語る幻想文学の佳品「かいやぐら物語」など、人間心理の深奥を抉り、耽美の限りをつくした巨匠・横溝正史のふしぎ小説全10篇。

トップカスタマーレビュー

蔵の中  投稿者  ピラミッド 
 
かつて読んだ「蔵の中」を再読したかったので購入。 他作品もそれなりに味わいはあるが、私には「蔵の中」のあやかしの耽美がダントツで好ましい。 他に「鬼火」「孔雀屏風」は良かった。でも「蔵の中」には及ばない。

金田一耕助シリーズだけではない 投稿者  フルフル
戦後の金田一耕助シリーズも魅力的ですが、金田一シリーズ開始以前の横溝正史の耽美的代表作と言っても過言ではないでしょう。21世紀には存在し得ない世界観を味わう事が出来ます。しかし時は移れど人の心や男女の愛憎はいつの時代も変わらないものですね。

葛藤   投稿者  Amazonのお客様

 二人のいとこ同士の画家の葛藤を軸に展開される怪奇耽美小説。
火傷を負い顔が醜くなりゴムマスクで隠すー後の犬神家の一族の佐清に生かされているようなところもある。一時は軍部の指示により大幅な削除を命じられたのだが、後に原文が見つかり現在では当時そのままで読めるようになった。

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