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<1959年11月19日、クリスマスの夜に召されし妻、ここに眠る>。

Bankoku


                何と気が早い。まあ、そう言わずに読んでほしい。
                ちょっと怪しい表題だが、「万国奇人博覧館」(ちくま文庫)
                に掲載されている、米国であった話である






 ◆妻の余命がわずかだと知った夫。最後のクリスマスを見せてやろうと思い立った。ところが、まだ11月だ。妻は12月25日まで持ちそうにない。何とかしてやれないかと、夫は、市長をはじめ、町中の人たちに協力を求めた

 ◆これに応え、地元新聞が「メリー・クリスマス」の大見出しを掲げた特別号を発行した。店は華やかに飾り付けをし、客に扮した市民でにぎわった。クリスマスの買い物を楽しんだ妻は数時間後、感謝しながら目を閉じたという

 ◆墓石に刻まれている。<1959年11月19日、クリスマスの夜に召されし妻、ここに眠る>。妻も仕掛けに気づいていたはずだ。けれども、幸福感はいつもの年に倍する夜だったに違いない

 ◆夫は大金持ちで、だからこんなことができたのだ、と美談を台無しにするような想像も湧くが、肝心なのは話の骨組みである。夫と妻、支える周囲の人。優しい気持ちが皆をつなぎ、この物語は成立している

 ◆私たちの社会は、生まれてから死ぬまで、障害があってもなくても、自分らしくいられるだろうか。優しさという潤滑油が少し足りないのではないか。そう思う出来事が近ごろやけに多い。【鳴潮】

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Ni


      『頂門の一針』 痺れました!






「万国奇人博覧館」 トップカスタマーレビュー

著名人から小市民まで、奇人・奇行の大事典  投稿者  時事無斎   

★古今東西のさまざまな逸話や人物伝を収めた、奇人・奇行の大事典である。内容は、『市民ケーン』のモデルにもなった新聞王ハーストやロシアのピョートル大帝、哲学者カントなど、奇矯な言動で知られた著名人たちの「いかにも」なエピソードから、他の部分では至って平凡な小市民の(しばしば本人も困惑している)奇妙な習慣や強迫観念、

★一級の大学者(例えば数学者シャスレや脳生理学者ブリヨン)が突然陥る蒙昧の闇、奇行というより恐ろしいほどの不運に見舞われた人々の事例、心理学や脳生理学の研究対象にもなりそうな驚異的な記憶力や計算能力、アブドゥル・ハミド1世、ザマノ、チャウシェスク、ボカサといった暴君・独裁者のおぞましい事跡までと、非常に多彩で密度が濃い。

★一方で、読み進むうち、逆に「奇行とは何か」という根本的な問題についても考えさせられる。著者たちも強調している通り、何を「奇行」とみなすかは(賭の対象にさえなった世界一周が、やがて何の変哲もない旅行と化した例など)時代や文化圏によって全く異なるものだし、一見常軌を逸したような独裁者たちの行動も、何かのはずみで絶対権力を手にした凡人が全能感と猜疑心の板挟みになれば、必然的に起こってしまう事なのかもしれない。
★興味本位に陥りがちなテーマにもかかわらず、著者たちの視点は意外にまじめで、人物・逸話の取捨選択もセンセーショナリズムやオカルト趣味を努めて排した節度のあるものとなっている。事例や評価の視点がやや欧米に偏っているように思える、信憑性に多少疑問のある内容も見られる、などの点はあるものの、とにかくボリュームがすごく、読んでいて圧倒される1冊だった。あとは雑談や創作のネタ元に使うもよし、独善や軽信を避けるための教訓とするもよし、あるいは、博愛心や反骨精神といった点で見習うべき人物もいるかも知れない。

奇行の宝庫   投稿者  一言居士

★面白かった。同じ原著者の『珍説愚説辞典』(国書刊行会)は翻訳された際に項目分類が混乱し、非常に読みづらく、時間をかけて読む気の起こらない本だったが、本書は違う。
日本語版への移行がなめらかで、気持ちよく読める。

★内容に関しても、奇行の事例を夥しく列記しているだけの書物ではなく、各項目について、作者が上等な教養、ユーモア、愛情を込めてフォローしている。4ページにわたって続く「ダンディ」の項目などは、一見の価値がある。奇行の宝庫としてふさわしい本の造りだろう。

お気に入りのエピソードをひとつ。

〇「ローマの人が酔っぱらい(ビベリウス)と呼んだ老ティベリウスは、人と顔を合わすことを極力避けた。極度の人間嫌いであった彼は晩年をカブリ島で過ごし、誰とも会おうとはしなかった。ところがある日、背後から突然漁師が現れ、彼にヒメジを一尾献上した。

〇あれほど用心しているのにかくも容易に人が近づき得たことに驚愕したティベリウス、掴み取ったその魚で漁師の顔をめった打ちにした。しかしこの漁師はユーモア感覚を備えた人であったらしく、「いやはや、あんたに伊勢海老をあげなくてよかったよ」と言って引き下がろうとした。するとティベリウス、側にあった蟹の甲羅で漁師の顔を傷だらけにした。」

今日も、珍念のコメントは【支離滅裂】お笑い下され~い! ゜.+:。(*´v`*)゜.+:。

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