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『望遠鏡』

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   夜空に煌(きら)めく大三角形を形成するシリウスの伴星が見た
   くて“超強度望遠鏡”を発明した男が、半裸で汗だくになってやっ
   と望遠写真を撮ったら平面に一つの黒点が写っていた










▼妻は「それ、貴方の背中の黒子(ほくろ)じゃない?」。「ああ、今度は余りに遠くが見えすぎた」という男の嘆息で幕になる。八戸市出身の劇作家北村小松が映画のシナリオとして書いた掌編『望遠鏡』の粗筋である

▼北村は明治から昭和にかけて戯曲や映画の脚本、小説と幅広いジャンルで活躍。模型飛行機作りに車の運転、ダンスにジャズと多趣味で“文壇のモダンボーイ”として一世を風靡(ふうび)、昭和39年に63歳で生涯を閉じた

▼若くして開花した才能は宇宙や科学に及び、幼い小松左京や石原慎太郎の好奇心を揺さぶった。ファンで仲間を自認する三島由紀夫は「映画という当時最も新奇で神秘的な玩具に熱狂し躍動した」と絶賛した

▼その三島イチ押しが『望遠鏡』。北村は才を軍に利用され戦後のパージに苦しんだが、星より遠い自分の背中が見えてしまう男は自身の投影か。三島は「愛した全てが玩具に過ぎず本領は人間通だった」と追悼した

▼青森県近代文学館の初出張展「映画と空を愛したモダンな文学者 北村小松」が14日から23日までデーリー東北ホールで開かれる。くわえ煙草に満面笑みで模型飛行機「ぶた号」を披露する“モボ”の魅力に触れてみてはいかが。【天鐘】

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    北村小松 遺品「模型飛行機ぶた...





空飛ぶ円盤と人間通~北村小松氏のこと~(三島由紀夫氏)

 世俗的に言えば、氏はあんまり早く超越してしまったと思われるふしがある。今、私の机上には、氏の長編小説「銀幕」や、1920年代の無声映画のシナリオ集や、トーキー初期のシナリオ集(「マダムと女房」を含む)が置いてある。そこには映画という、当時のもっとも新奇な神秘的な玩具に熱狂した氏が躍動している。

 しかし一等面白いのは、氏は小型映画用シナリオとして書いた掌編で、その「望遠鏡」という一編では、シリウスの伴星を見ようと志して、超強度望遠鏡を発明した男が、半裸の汗だくで、望遠写真をやっと写したところが、一点の黒点のある平面のみが写っており、あとで細君から、それはあなたの背中のほくろの写真じゃないかと言われ、男の溜息の字幕でおしまいになる。

「ああ、今度はあまり遠くが見えすぎたのだ?」

 遠い恒星よりももっと遠い自分の背中が見えてしまう目を持った男、その男の不幸を、そのころから北村氏は知っていた。飛行機も映画も、自動車も円盤も、すべて氏の玩具にすぎず、氏の本領は人間通だったのかもしれない。

 それを証明するのは、婦人公論の5月号に出た、氏の「わが契約結婚の妻」という文章で、私はこれこそ真の人間通の文章だと感嘆し、早速その旨を氏へ書き送ったが、今にしてみると、それは氏の心やさしい遺書のような一文であった。

 それは道説的な表現で、奥さんへの愛情と奥さんの温かい人柄を語った文章であるが、人間が自分で自分をこうだと規定したり、世間のレッテルで人を判断したり、自意識に苦しめられたり、そういう愚かな営みを全部見透かして、直に人間の純粋な心情をつかみとるまれな能力を、氏が持っていることを物語っていた。

 そのためには、飛行機や空飛ぶ円盤も無駄ではなく、これら飛行物体が、氏の、人間に対する澄んだ鳥瞰的な見方を養ったのであろう。北村さん、私はあなたが、円盤に乗って別の宇宙へ行かれたことを信じている。作家 三島由紀夫 ; UFOこそわがロマン 荒井欣一自分史


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       『論語読みの論語知らず』の珍念!恥じています。





最後(さいご)のうそ

 ◆昔々、あるところに、嘘つきの名人がいました。その名人は、年を取って体が弱くなり、もうすぐ死ぬばかりとなりました。 「嘘つき名人といっても、悪い嘘はつかず、嘘で人を笑
わせせる、いい人だった」みんな、そういって、嘘つき名人のところへ集まってきました。

 ◆すると、嘘つき名人は、小さな声でいいました。 「みなさん、どうか元気でくらしてください。そのためのお金を、少しばかり用意しています私が死んだら、この家のゆか下を掘ってみてください。つぼの中に、お金が入ってます」まもなく、うそつき名人は亡くなりました。

 ◆お葬式がおわると、みんなは、ゆか下を掘ってみました。 嘘つき名人がいったとおり、つぼが出てきました。 そのつぼのふたを取ってみると、一枚の紙が入っていました。その紙には『みなさん、これがわたしの最後の嘘です』と、書いてありました。 (o^-^o)

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