« ▼「人は2度生まれる。1度目は存在するため、2度目は生きるために」 | トップページ | 鷹狩 »

諏訪哲史のうたかたの日々

Photo 


              「どうも変だ」
の自覚










◆宮沢賢治の「注文の多い料理店」では2人の狩人が山中の西洋料理店「山猫亭」で、なぜか靴を脱がされ眼鏡や尖った金属を外させられ、牛乳のクリームを顔に塗らされ酢を頭にかけさせられる。最後は「さあさあおなかにはいりください」。指示ががある度にどうも変だなと訝しむ2人を僕らは笑うが、実はいま、これと同じ境遇にあるのが我々日本人である。

◆「絆を重んじ助け合うべし」「国を愛すべし」「国家を歌うべし」。人々は「じゃあそうしょうか」と従うが、「歌っているかどうか口元を見ているぞ」という話を聞くとどうも変な気がする。「文系より理系の学部を優遇すべし」という方針も「発明をして国家に資せよか」と思う人と、「国家は文学や思想を邪魔なものとして煩がっているのか」と奇妙に思う人もいる。

◆戦争への筋書きからいえば次は報道の統制だが、これはマスコミの自主的萎縮という形で既に進行中だ。筆鋒鋭い学者やジャーナリストらが次第に活動の場を失ってゆく。場を持っている媒体が政権との確執を面倒がるのだ。萎縮は読者を置き去りにして、問答無用で行われる。

◆周防さん、あんたも書く場を奪われてよと、多くの愛読者の方が手紙やメールで心配してくださる。このコラムは始まってまだ3年の経たないが、皆さんは「本当のことを書く諏訪さんの気概を応援し永続を願うが同時に諏訪さんへの圧力を案じています」と言ってくださるのだ。

◆時代の悪い趨勢を敏感に感じ取り、国からの注文も「どうも変だ」と自覚でき、そして」これはおかしい」という声を上げられる人々が日本には大勢いる。僕らはいま100年後に著される21世紀戦争史の中盤、民が国から批判意思を奪われ、無思想を奨励され、世界でなく「国」を愛させられる箇所を読んでいる。

◆料理店でいえば狩人たちがどうも変だとは思いつつ耳にまでクリームを塗らされている箇所だ。その愚かさを自覚する人々の理性だけが未来の戦争史を破棄できる。いま扉の向こうで、戦争が口を開けて僕らを待っている。

・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆・‥…━━━☆

Gyo
      このコラム『頂門の一針』痺れる!
      斯く言う・珍念 『ごまめの歯軋り』

「注文の多い料理店」~あらすじ~

●銃をかついだ2人の若い太った紳士と、大きな白くまのような犬2匹が、山奥を歩いていました。2人は獲物が見つからないのが残念で、「はやく鳥や獣を撃ちたいな。楽しいだろうな」などと話しています。長い間歩いているうちに、道に迷ってしまいます。山のすごさにやられてしまい、犬は泡を吹いて死んでしまいました。犬が役に立たなくなり、2人の男は「二千四百円の大損害だ」などと言います。

●山が怖くなった2人は帰ろうとするも、道がわかりません。お腹も空いてきて早く帰りたいと思っていた2人は、ふと後ろに「西洋料理店・山猫軒」というレストランがあることに気づきます。ドアには「どなたもお入りください。けっして遠慮はいりません」などと書いてあったので、ここで食事をしようと喜んで中に入りました。

●中に入ると、「ことに肥ふとったお方や若いお方は、大歓迎だいかんげいいたします」と書いてあり、また奥の部屋へ進むと「当店は注文の多い料理店です」とてあります。そして、進んでいくたびに、「髪を整えて靴の泥を落としてください」「鉄砲と弾丸をおいてください」「帽子と外套を脱いでください」「クリームを身体に塗ってください」などいろんな注文をされていきます。だんだん変だなと思いながらも、お腹の減った2人
は指示されたとおりやっていきます。そして、次に「塩をよく身体にもみこんでください」
という文字を見て、2人は自分たちが食べられることに気づきます!


●奥の扉の鍵穴を見ると、ぎょろぎょろ光る青い目玉が二つこちらをのぞいています。2人は怖くなり、泣きだしてしまいました。すると、中から「だめだよ。もう気がついたよ。」という声が聞こえました。2人はあまりのことに心を痛め、顔がくしゃくしゃの紙くずのようになり、泣きました。中からは、「早くいらっしゃい。親方がもうナフキンをかけて、ナイフをもって、舌なめずりして、お客さま方を待っていられます。」などと声が聞こえます。

●そこに、あの白くまのような犬2匹が現れ、奥の部屋へと飛び込んでいきました。
「にゃあお、くゎあ、ごろごろ。」という声がすると、レストランは煙のように消えました。2人は、草の中に立っていました。無事、東京に帰ることができた2人でしたが、くしゃくしゃの
紙くずのような顔だけは元に戻ることはありませんでした。

★この本を読んで特に印象に残ったのは、「思いやり」についてです。紳士は、動物や犬にひどいことを言っていました。一生顔がくしゃくしゃになる罰を受けましたが、言われたほうもずっと心に傷が残るかもしれないです。軽はずみな言葉、何気ない一言だって深く相手を傷つけることがあるので、(一言居士)の珍念。友達や家族への言葉づかいは気をつけようと、決めました。そのためには、思いやる気持ちを持つことが大切だと思います。(*゚ー゚*)

 

« ▼「人は2度生まれる。1度目は存在するため、2度目は生きるために」 | トップページ | 鷹狩 »