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ロウソクの輝き

Rousoku


                   一八六〇年暮れ、英国の科学者ファラデーは
                  少年少女向けのクリスマス講演を開きました。
                   ロウソクの炎を基に、化学現象を易しく解説しました。






 講義を編んだ『ロウソクの科学』で編者クルックスは言いました。「この本の読者の中から、人類の知識を豊かにするために身を捧(ささ)げようという人も出てくるでしょう。科学のともしびは燃えつづけなければなりません」(岩波文庫)

 今年のノーベル医学生理学賞に決まった大隅良典さんが科学に興味を持ったのはこの『ロウソクの科学』などの科学書でした。クルックスの言葉通り、大隅さんも身を人類の知識に捧げたわけです。

 細胞が自分で自分のタンパク質を分解してリサイクルする自食作用の解明。その受賞理由は容易に分からなくても、会見の言葉は分かりました。「役に立つという言葉が社会を駄目にしている」。すぐには役に立たないような基礎研究の大切さを訴えたのです。

 文部科学省の運営費交付金の総額はこの十年で一割減。一方で、防衛省は軍事転用可能な研究の助成を始め、来年度は百十億円の予算を要求しています。目先の成果が求められる時代、科学者も苦しい立場にあります。

 だからこそ、「今の勉強が役に立つのか」と不安を語る高校生に大隅さんが答えた言葉は励みになるはずです。高校で習う三角関数は研究者になって使うことはないが、論理的な思考には必要だ。「何が役に立つか」と思わず人間が築いてきた英知を学ぶ。それが大事なことと言うのです。

 『ロウソクの科学』でファラデーは若者に希望を語ります。来るべき時代に「皆さんがロウソクのように、光り輝いてほしい」と。大隅さんも、そんなロウソクの輝きを放っているようです。(中日新聞)編集局デスク

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            このコラム『言い得て妙』 !





『ロウソクの科学』 商品の説明 内容紹介

  たった一本のロウソクをめぐりながら、ファラデーはその種類、製法、燃焼、生成物質を語ることによって、自然との深い交わりを伝える。大科学者18世紀のファラデーの講演記録。

内容(「BOOK」データベースより)

  「この宇宙をまんべんなく支配するもろもろの法則のうちで、ロウソクが見せてくれる現象にかかわりをもたないものは一つもないといってよいくらいです」ロンドンの貧しい鍛冶屋の家に生まれたファラデーは、1本のロウソクを用いて科学と自然、人間との深い交わりを伝えようとする。子供たちへの慈愛に満ちた語りと鮮やかな実験の数々は、科学の面白さ、そして人類の未来をも照らしだす。時を超えて読者の胸を打つ感動的名著

トップカスタマーレビュー

プラクティカルな「ロウソクの科学」の読み方   投稿者  Hironobu SUZUKI

★本書はマイケル・ファラデーが1861年のクリスマス休暇にロンドンの王立研究所で行った講演記録(6回分)である。クリスマス講演は王侯貴族から一般市民の子どもまであらゆる階層の人々が聞きにきたそうだ。オリジナルのタイトルThe Chemical History of a Candleが示すように、ロウソクという身近なものを入り口として化学の歴史を紐解いている。

★今日的なテキストとして本書を見るならば、それは「チュートリアル」である。前提となる知識を持たない対象者に対し、最初から一歩一歩説明していくテクニックをこの本から学ぶことができる。もしあなたがテクニカルライターを目指すなら、この本は目を通すべきである。初学者向けの解説書を書く者も同様である。もちろん教員を目指す者も、導入部からそのようにステップを踏み、話を展開していくというテクニックを学ぶことができる。

★ビジネスシーンでもこのテクニックは役に立つ。それは前提知識を要求しないプレゼンテーション資料の作り方とそのパフォーマンスの方法だ。一見、化学方面を志す人たちの教科書のように思える本書であるが、実はコミュニケーションやプレゼンテーションのテキストとして非常にプラクティカルに活用できる万民向けの名著なのである。

燃えることと、息をすることはよく似ている  投稿者  ロビーナ 

★小学生が、理科の最初の授業でこの話を教わったら、どんなに科学が身近になるだろう。世界的科学者、ファラデーが、に話しかけるような口調でロウソクは何でできていて、
どうして燃えるのか。ロウソクが燃えるためには何が必要で燃えると何が残るか……。

★1本のロウソクが燃える現象をやさしく解き明かしながら人間の呼吸から自然の循環まで森羅万象のしくみを教えてくれる。燃えるとは物質が酸素と結びついて、熱や光を出す現象。ロウソクが燃えることとわたしたちが息をすることはよく似ている…。わかりやすさと、ファラデーの、命の循環をいとおしむまなざしに感動した。

「私たちがいま学ぼうとしているのは、事物の一般的なしくみだけなのです」 投稿者  たまどん 

★もし、小さな子どもに次の質問をされたら、どう答えますか?−「ねえ、どうしてロウソクは燃え続けられるの?」あなたならどうします?ロウソクなんだから燃えるのは当たり前、と適当に言いくるめますか?無視しますか?それとも真剣に「ロウソクのなかの炭素に空気中の酸素が結びついて…」と、きちんと答えようとしますか?
 
★この本には難しい原理は出てきません。なぜならロウソクの燃焼という現象は、科学的には単純な反応だから。この本の“登場人物”も水素、酸素、炭素だけ。あとゲストに窒素かな。それらがくっついたり別れたりしてドラマができる。

★「この宇宙を支配している法則のうち、ロウソクの話とかかわりのないものはないほどです。」身近なロウソクを題材に取上げ、そこから各元素がもつ絶妙な役割分担について教えてくれ、果ては生命活動としての燃焼=呼吸にまで話は及ぶ。

★そして「すべての物事は、それにふさわしく適正に進行するのです。」で締めくくる。地球上の根源的な法則――物事には一つひとつ意味があり、それらが有機的に集まって大きな力となる――科学の領域に限らず、私たち人間の日常生活にも応用できるが、1本のロウソクから話を展開して引きつけるファラデーの独創性には脱帽する。
 
★ファラデーの話は、CO2削減など現代社会の抱える課題にもつながる。世の親たちもマスコミからの受け売り情報だけで子どもにエラそうに能書き言う前に、子どもと同じ目の高さから“科学”してみてはいかが? 

これ以上は『蛇足』・・・・ ゜.+:。(*´v`*)゜.+:。

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