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終戦の日 先人への礼欠かぬ和解を 「譲れぬ価値」再確認する時だ

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 71回目のこの日を迎えるにあたり、2つの変化があった。

 ▼一つは記憶に新しいオバマ米大統領の広島訪問である。大統領と被爆者が抱擁しあう姿は、原爆を落とした国と落とされた国のわだかまりを少なからず解消した。

 ▼もう一つは、昨年8月の安倍晋三首相の「70年談話」に連なる外交で、その代表例はいわゆる慰安婦問題をめぐる昨年末の日韓合意である。不正常な両国関係の改善に一定の効果をもたらした。多難な国際情勢の中で日本が生き残る上で、さきの大戦の当事者や関係国との和解、関係強化が欠かせないことは言をまたない。

 ≪胸張り御霊に語れるか≫

 ▼2つの変化は、日米同盟や日米韓の枠組みを強固にする肯定的な意味を持とう。だがそのために日本の主張、日本が譲ってはならない立場が損なわれていないか。わが国の歴史や国民の名誉をおとしめる余地がもし残っているとすれば、真の和解や問題の解決に結び付くものではない。

 ▼国に尊い命をささげた軍人・軍属と民間人計310万人に頭(こうべ)を垂れる際、「日本の未来を任せてください」と胸を張って言えるかどうかである。昨年4月の米連邦議会演説で、安倍首相は戦争への「痛切な反省」や「アジア諸国民に苦しみを与えた事実」に言及した。演説は米側の支持を得て、オバマ大統領の広島訪問の下地になった。

 ▼ただし、演説に対し「日本側に責任があることを明確にした」(バイデン副大統領)との評価があった点も見逃せない。中国とロシアはもっと露骨だ。「戦勝記念日」などを通じ、日本の戦争責任を強調した。戦勝国と敗者の壁は厳然と残っている。

 ▼世界遺産登録など文化に関する分野でも、中国や韓国は日本への歴史戦攻撃の手を緩めない。安倍首相が唱えた「戦後レジームからの脱却」というフレーズは、すっかり影を潜めている。

 ▼9年前の所信表明演説では、教育制度などの国内改革に重きを置く形で語った。だが、その真意が敗戦国から脱却し、国際社会で名誉ある地位を勝ち取ることにあったのは疑いないだろう。公布から70年を迎える現行憲法の改正が重要なのは、自国の防衛に責任を果たし得ない状態を放置してきたような、政治的呪縛からの解放を意味するからである。

 ▼軍事力を背景とした中国の増長や北朝鮮の暴走によって、日米同盟はより疑いなく死活的なものになっている。ただし、この重要な同盟には、相対的かつ流動的な側面があり、それが拡大していることに留意すべきだ。米大統領選を通じ、日米同盟の優先度は米側において低下する懸念が生じている。

≪歴史戦の攻撃はやまぬ≫

 ▼国際的なルールを無視し、力ずくで権益の拡大を図るもう一つの国はロシアだ。国連安保理の常任理事国でありながら、秩序の破壊者の顔を隠さない中露両国は、日本を「敗戦国」に押しとどめようとする点でも共通している。

 ▼日本が国際平和へのより積極的な貢献を目指しても、それを封じ込めようとする力は極めて大きいことを認識せざるを得ない。日本の名誉や国益に関し、譲れない一線を今一度確認しておく必要がある。日本をおとしめる曲解を認めず、嘘を正していく努力はより大切になる。

 ▼他国の不当な干渉を排除する象徴的な行為として、安倍首相には靖国神社への参拝を再開することを求めたい。オバマ氏の広島訪問への返礼として、安倍首相の真珠湾訪問を求める意見がある。だが、多数の一般市民を対象にした原爆投下と、軍事施設に対する奇襲とを同列視するのは大きな誤りである。両者を混同したような形では訪問すべきでない。

 ▼天皇、皇后両陛下が昨年訪問された激戦地パラオ・ペリリュー島で先週、自衛隊が初めて戦没者の慰霊行事を行った。日米などによる「パシフィック・パートナーシップ」活動の一環で、慰霊碑清掃などの行事も織り込まれた。

 ▼日米激戦の際、日本軍は島民約900人を避難させて命を守った。それを知り、語り継ぐ島民が今も日本人の墓を守っている。日本軍が玉砕しただけでなく、誇りある歴史がある。戦争の悲劇に思いを致しつつ、そうした史実も埋もれさせたくない。【産経新聞コラム:(主張)】

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Yubi


  このコラム 『頂門の一針』 痺れる!









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