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2016年4月

映画監督の是枝裕和 「奇跡」

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 「みやざき子どもの貧困」をテーマにした2年前の宮崎日日新聞社主催シンポジウムのトークイベントで、話を聞いた映画監督の是枝裕和さんに「奇跡」という作品がある。

 ▼九州新幹線の一番列車がすれ違う瞬間を目撃すれば奇跡が起き、願いがかなう。子どもたちの間に流布するうわさを信じて、両親の離婚で別々に暮らすことになった兄弟が旅に出る。兄は鹿児島から、弟は福岡から。目指すのはもちろん新幹線が行き違う場所だ。

 ▼ふたたび家族みんなで暮らすことが願いなのだが、いざその瞬間にふたりが叫んだことは…。映画のことはひとまず置いて、熊本地震で大きな被害を受けた九州新幹線が全線開通した。きのうは山陽新幹線との相互乗り入れも再開した。

 ▼14日の地震で回送列車が脱線するなどしたため全線が不通になった九州新幹線だった。20日に新水俣-鹿児島中央が、23日に博多-熊本が順次再開したが、熊本-新水俣の約74キロは不通が続いていた。GW前の全線開通は震災から立ち直る大きな力になるだろう。

 ▼福岡市の会社員は「被災地に向けて何か支援物資を送りたい」と博多駅から新幹線に乗り込んだ。被災した熊本市の実家に行くため熊本駅で降りた鹿児島市のアルバイト女性は「おかげで早く着いたので長く手伝いができる」と語った。

 ▼是枝映画の「奇跡」は家族が平穏に暮らす日々のことだった。博多駅と鹿児島中央駅発の一番列車がすれ違うのは熊本県内のどこかだろう。全線開通した新幹線がすれ違うたび地震前の日常を被災者が取り戻してほしい。心の中でそう叫ぶ。【くろしお】

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     感動しました。
     『百聞は一見に如かず』
     是枝映画の「奇跡」を見てみたい!





映画「奇跡」 トップカスタマーレビュー

当たり前に思える日常って奇跡の積み重ねなんだ  投稿者  さいのじ

★「九州新幹線の上りと下りの一番列車がすれ違う時、奇跡が起こる」他愛も無い、どこからともなく子供達が作り出した夢、それを信じてひたむきに行動する子供たちのちょっとした非日常を周囲の大人が暮らす日常との対比の中で描いた作品。

★子供と言ってもそこは現代、離婚した両親の復縁や女優志願といった現代的な「願」と駆けっこで足が早くなりたい的な昔ながらの「願」とがないまぜなのが可笑しい。子供達が奇跡を信じてだんだん熱くなっていく様は、一方で我々が年をとるに従って身につけた万事諦めがちの考えをどこかへ押しやってくれる。また一方で、我々の眼を「頑張れ!子供たち!」という親や肉親の、いや、人が人に優しくできた時代のそれ変えていく。

★こんな誰のことでも自分のことのように思える感覚を呼び覚まして感じるハラハラやドキドキが楽しい一方、劇中に挿入された高橋長英とりりぃが演じた老夫婦と子供たちのエピソードが胸を打つ。父方と母方に別れ別れになった二人の兄弟を演じたまえだまえだの二人のキャラクタが対照的でどこかチグハグなのがいいのだが、その両親もかなりチグハグなところもまた可笑しい。

★平凡な日常を演じ抜いた樹木希林、加えておじいちゃん、学校の先生ら、子供たちを取巻く大人達のおおらかなところも九州人賛歌になっていて気持ちのいい後味を残す。大人達の脇役も見事だったとも言えそうだ。

あ・・・ピザが焦げている (A;´・ω・)アセアセ

副作用は国家の滅亡

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 昔の中国の皇帝にとって何よりの願いは、「不老不死」だった。秦の始皇帝は、徐福に妙薬探しの旅を命じた。しかし、徐福は帰らず、始皇帝は49歳で世を去った。

 ▼唐の時代になると、病を引き起こす悪霊に打ち勝つ妙薬として、丹薬がもてはやされた。その正体は、毒性の強い水銀化合物だった。20代の皇帝のうち少なくとも6人が、中毒死とみられている。

 ▼2年前から発売されているがん治療薬「オプジーボ」は、間違いなく妙薬である。当初は、皮膚がん向けだったが、昨年末から日本人に多い非小細胞肺がんの治療にも使われている。これまでの抗がん剤とは、まったく違う仕組みだ。患者自身の免疫に働きかけて、がん細胞を消してしまう。全員とはいかないが、一部の患者には著しい効果があるという。

 ▼問題は、体重60キロの人が1年使うとして、3500万円にも達する薬価である。患者本人の負担は補填(ほてん)され、ほとんどが公費で賄われる。仮に5万人の患者に使ったとすると、日本の年間医療費のなかで約10兆円とされる薬剤費が2割近く跳ね上がる計算だ。専門家は、「このままでは国が滅びかねない」と指摘する。確かに、「副作用」は強烈すぎる。

 ▼しかも、がんを制圧するかもしれない高価な「夢の新薬」は、これからも続々と登場する。それどころか、英国の科学者、オーブリー・デグレイ氏らは、老化そのものを止める治療法を提唱している。平均年齢1000歳をめざすという、途方もない研究である。

 ▼昔の中国のように、「不老不死」を願う資格があるのは、皇帝だけではない。誰もが追い求める時代がやってくるかもしれない。実現したとしても、「ユートピア」と呼べる世界にはなりそうにない。【産経抄】

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 ふと、黒澤明監督の名作『生きる』が脳裏に思い浮かぶ!




 ●「死」は、単なる「生」の終焉なのか――。
「死」に直面した時、「死にたくない!」と叫び、得体の知れぬ恐怖に震えるのが、ありのままの人間の姿ではなかろうか。そんな人間を赤裸々に描き、「なぜ生きるか」を世に問うた映画がある。巨匠・黒澤明の代表作、『生きる』がそれだ。

 ●制作の意図を、黒澤監督は、こう語っている。
「この映画の主人公は死に直面して、はじめて過去の自分の無意味な生き方に気がつく。いや、これまで自分がまるで生きていなかったことに気がつくのである。そして残された僅かな期間を、あわてて立派に生きようとする。僕は、この人間の軽薄から生まれた悲劇をしみじみと描いてみたかったのである」

 ●昭和27年の作品だが、今でもビデオレンタル店には大概並んでいる。時代を超えて人々の心を打つ真の姿が、そこにあるからだろう。
 この映画の発するメッセージに、あなたなら、どう答えるだろうか。

 ◆生きながら、死んでいる

「生きる」の主人公は、都会の区役所に勤める中老の吏員である。毎日同じ時間に出勤して机の上に山積みした書類を、ぼそぼそとひっくり返している。あまり、やるきが無い。この吏員は、身体の具合いが悪い。胃が痛む。だから、よけい無愛想になる。胃の痛みが酷くなる。ついに彼は決心して病院に行く。そして、最悪の宣告を受ける。ガンだったのである。

 ◆あと数カ月の生命しかないことが分かる。しかし、その絶望状態の中で、彼はあとわずかしか残っていない生命の価値を発見する。

 ◆彼は、自分が、本当の意味で生きていなかったのだ、ということに気が付く。人生はもっと素晴らしいものでありえたはずだ、もっと充実した喜びに満ちたものでありえたはずだ。生きていることの楽しさを実感しうるような生活、それが生きるという事なのではないか。残された時間は少ない。少ないけれど、この数カ月を、本当に生きてみよう----彼はそう決心する。

 ◆胃の痛みは、ますます激しくなる。しかし、そう決心した時から彼のすさまじい活動が始まる。

 ◆陳情にきた主婦達の訴えを真剣に聞く。ついこの間まで、全然相手にもしなかった児童公園の建設を、主婦達の身になって考える。お役所仕事というのは、いろんな手続きが面倒くさい。下級吏員の一人の力でどうなるものでもない。しかし、この児童公園をどんな事があっても、作り上げようと彼は決意する。まるで人が変わったように、彼は熱心に上役に陳情を取り次ぐ。

 ◆いろんな妨害もある。事なかれ主義の高級吏員はあいまいな態度で彼をあしらう。だが彼は負けない。頑張りに頑張って、とにかく公園建設の決裁を取り付ける。工事が始まると、雨が降っても建設の現場に出かけて進行状態を見守っている。

 ◆ほとんど殺気だったような彼の熱心さで公園は完成した。小雪のばらつく夜、彼は自分の作った児童公園のブランコに腰掛けて、ゆらゆらと揺らしながら、歌を歌う。喜びに満ちた笑顔が蘇る。そして、その喜びに浸って、彼はブランコの上で息を引き取るのである。

 ☆果して我々は、本当に生きているのか。

 〇我々は、今、こうしてここにいる。しかし考えようによっては、ガンの宣告を受けたあの吏員と変わらないのではないか。「生きる」の主人公と青年との間にある違いは、深淵までの距離が数カ月であるのと、数十年であるのとの違いに過ぎないのではないか。

 〇生きることの意味をいつ発見するかには個人差がある。例の老吏員のように、人生の終わりの数カ月で発見する人もいるし、数十年に渡って生きることの意味を探求し、本当に生きることの出来る人もいる。そして、もしも、生きるということが、生命の充実感を伴った幸福な状態であるとするならば、はやく生きることの意味を発見したほうが、より幸福になることにならないか。

 〇重大なのは、生きる決意をした人間には、驚くべき可能性が開けているという事実である。私達の多くは、その可能性をあまり試したことがない。本当に自分が無力であるのか、或は無力であると思い込んでいるだけなのかを、この辺で検討して見たらどうだろうか。

 ※筆者は4度“虎の尾”を踏み虎口を逃れました。
小欄の【珍念の誓い】に、ちょこつと体験を述べています。

これ以上は『蛇足』・・・・・。

年寄りへの三大兆候プラス

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 知人が、とある組織の運営に物申す評議員を3月末で辞めたと明かした。

 ▼60代半ば。これまでの経験と知識をもってすれば、まだその任にあってもよさそうだが、最初からのメンバーで10年以上も就任しているため、「もういいのでは」と、新風を入れる交代を願って決めたそうだ。それで彼が以前、笑いながら教えてくれた言葉を思い出した。

 「年寄りの兆候は『話が長い』『同じ話を繰り返す』『人の名前を忘れる』から始まるスナ」

 ▼法人組織や地域の民間団体の会長を務めている彼は、話を簡潔に述べ、話題も豊富であり、「あれあれ」と思い出せない様子も見たことがないので、「年寄り三大兆候」にあるとは思えないが、若干の不安が出てきたのだろうか。

 それよりも、重い責任の役職にあるのだから、三大兆候が表れてきたら、勇退を考えざるを得ないと思っているのだろう。

 ▼たとえ周囲が後継にふさわしい人がいないとして「もう少しやってください」と懇請しても、役員内の本音は交代を期待しているのに「余人をもって代えがたい」とおべんちゃらを言われても、心に留めていた「引き際の美学」「潔い勇退」を貫く覚悟があるとみる。

 ▼彼自身、引退・交代の機会を逸し、「話が長く、同じ話を繰り返し、人の名前を忘れた」トップを、この地域でも全国でも見てきたはずだから。年寄り三大兆候とは別に、「やたらと自慢話をする」「過去の話ばかりする」を指摘する人もいる。

 ▼年を重ねれば、短くなった未来と明日は不安と心配ばかり多く、懐かしい昔話、栄光と華やかだった頃を語りたがるのは致し方ないが、これが年齢の垣根を越えた気持ちの通いをまずくさせ、中高年の役職者やリーダーへの不満、世代交代論の台頭につながる。

 ▼高齢化と少子化の社会。人生経験豊かな年配者の知恵や判断力は、ますます求められる。とすれば、自慢話と過去の話を繰り返さずほどほどに、しかも長々とせず、明るく語りたいものだ。

 ▼若い人には聞く耳を優しく、人の名前を多少忘れるのは大目にしてもらって。【複眼鏡】

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     このコラム『頂門の一針』痺れる。
     「年寄りの兆候は『話が長い』
     『同じ話を繰り返す』
     『人の名前を忘れる』

     変人の珍念 『恐れ入谷の鬼子母神』


出自うんぬんの国

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 子ども格差で日本は下位 貧困度合い、米韓より深く


   一発逆転をうたうアメリカンドリームは過去の遺物だと
   経済学者の駒村康平さんの著書にある。そういえば
    耳にしなくなった言葉だ








▲スウェーデンでは保育も就学前の教育も、医療・保健サービスも公的に保障される。貧しい家に生まれても、出自で決定的な差は出ない。今の米国はそうではなく、どの家に生まれたかという差が人生を決定づける-ということらしい

▲国連児童基金(ユニセフ)の「子ども格差調査」の結果には、ため息が出てしまいそう。子どもを持つ世帯のうち、所得が「中くらいの層」と「最も低い層」との間で、日本では大きな所得格差があると分かった。41カ国の中で8番目に差が大きい

▲北欧の国々は「中間層」と「低い層」との差が小さい。行き渡った社会保障によるのだろう。それは分かるが、国民皆保険でもなく、出自に左右されるらしい米国よりも、日本の格差の方が大きいというのは何を指すのだろう

▲日本では1980年代半ばから二十数年間で、「低い層」の所得が下がったという分析がある。貧しい層がさらに貧しくなったというのだ。他の先進国にはない例

▲「子ども格差」の結果は、日本をいびつな国だと指さしているようでもある。出自がうんぬんという国でいいとは、大方の国民は思っていないはずなのに。【水ゃ空】

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大貧困社会 (角川SSC新書)商品の説明 内容(「BOOK」データベースより)

 ●アメリカ発の金融恐慌の影響で、未曾有の世界的大不況になっている。この影響でバブル経済後に起こった「格差と貧困」が、より一層深刻化することは間違いないだろう。脆弱な社会保障政策の影響で、今や大貧困国になってしまった日本は、今後どのような道を進むべきなのか?福祉・社会保障の専門家である著者が、暮らしやすい国・日本にするための処方箋を説く。

トップカスタマーレビュー

 福祉政策としての可能性と限界  投稿者  Amazonのお客様 

☆現状分析は多方面にわたり、偏らず、的確に事実を照らしており、単純な自由主義による競争社会批判に留まらない記述は好感が持てる。さらに、最終章の年金改革案は具体的で論点が明確だ。

☆しかし、どうもビジネスパーソンとして、この本を読むと「よくできた官製レポート」の側面があることも否めない。老後資金の準備は自助努力の積立のウェイトがもっと高まると思うし、また、キャリアラダー制度は、現場からみると
「きれいごと」過ぎる。ただ、このような批判を喚起するだけの問題提起が、本書にはあり、興味ある方は一読してほしい。

    貧困大国 日本  投稿者  いせむし 

 ☆現在もヒットしている「ルポ 貧困大国アメリカ」と同じく、新自由主義に基づく規制緩和が中産階級を弱らせて、ワーキングプアを増大させ、貧困が社会問題化していると、本書は現状分析しています。

 ☆問題はそれはアメリカではなくて日本だということ。私たちが知らない間に、日本の貧困率は世界でも高い水準に到達してしまっていたのです。財政は破綻寸前、少子高齢化は進行中。本書の描く日本の姿は絶望的に見えます。

 ☆経済的なセイフティーネット、医療、年金制度、これら の社会基盤まで「崩壊しつつあり」、最後に教育格差まで世代間移転が発生していることが示されます。ここまで読むと、相当ショックです。

 ☆一方で著者はこういう八方塞がりの日本へ向けた処方箋を書いています。貧困解消を最初に手を打つべきと言っています。格差社会の解消へ向けての議論は、従来は社会システム的な観点が中心であったように感じますが、本書では「貧困の解消」という、より具体的な課題設定をしているため、方向性にはうなずけるものがありました。

大変読みやすく勉強になりました。著者には続編を期待します。

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 天然呆けの珍念 『論語読みの論語知らず』 恥じています!

伊能忠敬に思いを馳せる

      
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 江戸時代の村々では、地図にあたる「村絵図」を作った。合わせると「国絵図」になり、さらに集成すると「日本総図」になる。だが、その精度は、同時代に伊能忠敬が作製した日本地図に及ばなかった

▼忠敬が用いた測量法は、工夫こそ凝らしているが、当時の一般的な方法で、技術には大差ない。では何が違ったか。それは“志の大きさ”であるという。忠敬は「地球上における日本の位置と形を明らかにしようとした」(星埜由尚著『伊能忠敬』山川出版社)

▼気宇壮大な忠敬は、一方で、実際の仕事は丁寧だった。現地を自分の足と目で測量した。調査の及ばなかった場所は、地図には書かなかった

▼レインボーブリッジのような橋を架ける仕事をしたいと、建設会社に入った友がいる。最初の現場は、人が歩いて渡るほどの小さな橋だった。職場の先輩は彼に教えた。「この仕事は、やがて地図に刻まれる」。それから20年。彼は最初の現場を忘れず、信頼と実績を築き、現在、要職で活躍する

▼志は大きく。どんな小さな仕事も誠実に。それが“大きな仕事”につながる道だろう。本年は忠敬が地図作製の測量を終え、200年の節目を刻む。地図は古いが、彼の生き方は古くない。社会人になった友が、学べることは多いはずだ。【名字の言】

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『伊能忠敬』商品の説明 内容紹介

 伊能忠敬の人生について、先学の著作から多くを学びつつ概観し、忠敬の愚直なまでの全国測量にかけた情熱とその背景を考える。

内容(「BOOK」データベースより)

 日本人なら誰でも知っている伊能忠敬。五〇歳を過ぎてから地球一周分を歩き、はじめて国土を実測して日本地図をつくった。中高年の星、ウォーキングの元祖、史上最大の旅行家でもある。伊能忠敬は、決して天才ではなく、若いころから学を好み、世のため人のためにと心がけ、まじめに実直に根気よく測量し、地図をつくった努力の人である。効率優先の世相への警鐘として伊能忠敬に学ぶところは大きい。

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     これ以上のコメントは『蛇足』





3度目の背信

Syakanyorai

   仏の顔も3度までというが、消費者も今回の裏切りには
   ほとほとあきれたろう。過去に2度、無料修理が必要な
   欠陥車のリコールを隠し、世間の批判を浴びた三菱自動車
   が今度は燃費を偽装表示していた。






◆前回は欠陥車の事故で死者を出し、社長が逮捕される事態を招いた。「半沢直樹」シリーズの小説家池井戸潤氏はリコール隠しを題材に「空飛ぶタイヤ」を書いた。登場人物の一人に「仮にも一部上場の大企業。あれだけの不祥事を起こし、再び起こすはずはない」と台詞(せりふ)を吐かせている。実際のモデルは事件後も変わっていなかった

◆消費者を甘く見ていたのだろう。自動車購入の際は「路上ではカタログ通りの燃費では走れません」とお約束の言葉が返ってくる。それがユーザーの疑問への言い訳になり、不正を見えにくくしていた

◆同社は「部長個人の指示」と上層部の関与を否定している。しかし、これまで多くの不祥事で、現場の担当者に責任が押し付けられてきた。企業倫理とはほど遠い組織防衛の論理がある。簡単に信じる人は少なかろう

技術立国の信用に傷をつけた責任は重い。池井戸氏の小説には、不正を行った企業にも良心を持った社員がおり、主人公の真相究明を手伝う。この組織に良心で行動する人がどれだけいるのか。生き残るには、そこしか希望はない。【有明抄】

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  三菱自動車が今度は燃費を偽装表示していた。
  これ以上は【武士の情け】で吠えません!

   

「空飛ぶタイヤ」 トップカスタマーレビュー

飛べ!赤松プロペラ機  投稿者  夢見   

▼皆さんのレビューに、感謝しないといけない。
「直木賞受賞」なら読んだかも知れないが、「直木賞ノミネート」だけでは、手に取らずに忘れてしまうことがほとんどだからである。「経済小説」と言っても、モデルとなった事件は広く知られており、広告スポンサーの影響力など、これを読んで新たに知るという情報は、ほとんどないだろう。

▼それよりも、これは第一級の人間ドラマだ。
何より私の心を熱くしたのが、赤松プロペラ機こと運送屋の二代目、赤松徳郎の大奮闘である。大企業の論理の前に、人間としてあるべき道をただし続け、最後に勝利する…、このあらすじが単なる予定調和の物語になっていないのは、この人物に血が通っているからである。

▼中小企業の資金繰りの大変さ、自分に非がないのに責められるつらさ、潔白を証明出来ない間、加害者にされ続けてしまう理不尽さ…等々、数え挙げたらキリがないが、彼の怒りが、嘆きが、すべて私自身のものとなって行くのである。

▼彼を動かすのは、「こんなことが許されていいのか!」という強烈な怒りだ人を本当に本気にさせるのは、怒りなのだ。この本を読む間、私も彼と一緒に怒っていた。もっともっと多くの人に読んでもらいたい。こんなことは、絶対にあってはならない。

企業の保身と本来すべきことの間で 投稿者  ringmoo 

▼作品中ではホープ自動車ということになっていますが、明らかに三菱自動車のリコール隠しを題材にした作品です。今回の直木賞の候補作ということで、かなり読み応えがあります。(ボリューム的にも二段組で約500ページ)主人公は、タイヤが外れて通りがかりの女性を死に至らしめ、その原因が整備不良ではないかという疑惑をかけられた中小の運輸会社の社長赤松徳郎です。

▼被害者からは門前払いをくらい、警察からは疑われ、子どもは学校であらぬ疑いをかけられ、挙句の果てには大口の得意先から注文の取り消しが届き、資金繰り面で行き詰まるといった大変な状況に陥ります。中小企業の経営の難しさが、手に取るように懇切丁寧に描かれてゆきます。

▼それに対して、大企業たるホープ自動車の傲慢な態度が対照的に描かれてゆきます。その大企業の会社の風土や体質に対する表現も見事です。中に「階級主義と選民意識」とか「銀行では規定がすべて」というような言葉が出てきて、サラリーマンをしている身としては、身につまされる部分も多くあります。

▼その中でも、ホープ自動車の販売部の窓口担当課長の沢田、ホープ銀行の営業本部の伊崎課長の企業の保身と本来すべきことの間で揺れる心は、我がことのように強く胸に響きました。その他にも、マスコミも広告でなりたっているということで、本来のジャーナリストの機能を果たせない部分にも関心を持ちました。 ∑(=゚ω゚=;)



安政大地震と熊本大地震

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  左側:安政の大地震後に流行した鯰絵

  右側:月岑自画像(『神田文化史』より)






 江戸期の著述家として名高い斎藤月岑(げっしん)が、『武江地動之記』という文書に書き留めている。〈江戸中の豪商…米穀金銀等を施し与ふる者多し〉。安政大地震(1855年)の後、江戸の町でなされた救済活動である。

 ▼震災の1カ月後には米の配給も行われ、延べ38万人が飢えをしのいだとの記録もある(『江戸の助け合い』つくばね舎)。町の豪商にとって被災した町民は「お客さま」、人々の暮らしが戻らねば商売も傾く。復旧の陣頭指揮を執ったのは自然の成り行きであろう。

 ▼これらの救済や救護を「施行(せぎょう)」と呼んだ。いまは「ボランティア」というさわやかな言葉がある。一説によると、その語源となる単語が歴史に一歩を印(しる)したのは1600年という。「義勇兵」の意味で広まり、後に「志願者」や「篤志家」などの意味でも使われた。

 ▼家屋が倒れ、橋が落ち、山が崩れた被災地は戦場と変わるまい。熊本地震は14日の前震から時間がたち、益城町や熊本市などに多くのボランティアが駆けつけている。当面は救援物資の仕分けや避難所支援が中心という。余震が危ぶまれる中での作業に頭が下がる。
 

 ▼東京・銀座にある熊本のアンテナショップは、地場産品を求める訪客で盛況と聞く。「ふるさと納税」を通じて被災地に寄付金を送る動きも目を引く。中越や東北に加え、新たな被災地をわが身の一部として胸を痛める人は多い。思いを寄せる。それも支援だろう。

 ▼ボランティアには「自生してきた植物」の意味もあるという。自らの意思で被災地に赴き、汗を流し、雨露をしのぐ。すべてが自弁に支えられた行為には「自生」の言葉がよく似合う。江戸の昔から受け継いだ種を、一人一人が大事にしたい。美しい花実をつける日を祈りつつ。【産経抄】

 
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   『轍鮒の急』 「富者の財産」が脳裏に浮かぶ!


〈その使い方を知るまで、富者の財産をほめてはならぬ〉。

人の器量は金の使い方で判断せよという、ソクラテスの言葉である。

喉元過ぎれば熱さを忘れる

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  世の無常をつづって名高い鴨長明の随筆『方丈記』。その中には本人が京都で体験したとされる1185(元暦(げんりゃく)2)年の大地震に関する詳細な記述も残されている

▼〈その様、世の常ならず。山は崩れて河を埋(うず)み…土裂けて水湧き出で、巌割れて谷にまろび入る〉〈家の中に居(お)れば忽(たちま)ちにひしげなんとす。走り出ずれば地割れ裂く〉。生々しい描写が揺れる大地の恐怖を今に伝える

▼〈恐れのなかに恐るべかりけるは只(ただ)地震なりけり〉。自然災害の中で最も怖いのは地震だと長明は書く。熊本や大分はいまだその恐怖の真っただ中だ。避難生活を送る人たちの疲労はピークであろう

▼テレビが映す被災地は今なお痛々しい。人々は極限の生活を強いられている。現地の窮状の一つ一つを目にして行き着くのは東日本大震災の記憶である。絆を合言葉に皆で頑張ろうと誓い合ったのはわずか5年前だ

▼九州での再びの惨状に、あの痛みを忘れてはおらぬか―と頭を叩かれた気がするのは小欄だけか。記憶の風化を問われて、どれだけ胸を張って否定できよう。原発は再稼働へ動き、当時の危機感がうそのような空気さえ感じる

▼〈年経にし後は言の葉にかけて言ひ出づる人だになし〉。800年前の長明の筆は、月日がたてば人の心持ちも変わると記す。が、重ねて痛い目に遭わなければ、のど元の熱さを思い出せない、そんな世の中でいいはずはない。【天鐘】

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   世界のことわざ
 「喉元過ぎれば熱さを忘れる」






  ●オタマジャクシのときは思わず、蛙になったことだけを思う(朝鮮)
  ●悪いことは覚えられるが、良いことは忘れられる(クロアチア)
  ●恩知らずで地獄はいっぱい(ベネズエラ)
  ●雨が降ったとき、ノスリは家を建てようと思うが、雨がやめば忘れてしまう(スリナム)
  (大修館書店『世界ことわざ大事典』より引用)

『方丈記』 商品の説明 内容紹介

 社会の価値観が大きく変わる時代、人生の無常を感じながら一丈四方の草庵に遁世するさまを格調高い名文で述べる。精密な注・自然な現代語訳・豊富な参考資料・総索引のつく決定版を組み直し、読みやすくした。

内容(「BOOK」データベースより)

 枕草子・徒然草とともに日本三大随筆に数えられる、中世隠者文学の代表作。人の命もそれを支える住居も無常だという諦観に続き、次々と起こる、大火・辻風・飢饉・地震などの天変地異による惨状を描写。一丈四方の草庵での閑雅な生活を自讃したのち、それも妄執であると自問して終わる、格調高い和漢混淆文による随筆。参考資料として異本や関係文献を翻刻。

トップカスタマーレビュー

方丈記の決定版 投稿者   古典大好き 

☆原文と脚注、現代語訳、解説が付いているのはもちろん、この本には、平家物語や池亭記など、関連する参考資料が豊富。文庫には珍しい詳細な語彙索引まで付いている。著者は『方丈記全注釈』の著者でもある。文庫とは思えないほどの内容であることに驚愕。

丁寧な解説、全体的に使いやすい。 投稿者  あん こ

☆現代語訳、原文はもちろん、こまかい解説がついていて良いです。
それでいて、本文中に脚注がうるさく散りばめられている感じもないので、現代語を読みたいときは現代語に、原文を楽しみたいときは原文に集中できるのが助かります。

☆文庫サイズだから仕方ないのかもしれませんが、細かい用語解説のページのみ文字が小さくて、ちょっと読みにくく感じたので、★は4つで。ふつうに本文だけ読むには非常に良い本だと思います。

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   読者の皆さま、是非『方丈記』お読み下さい。
   これ以上は『蛇足』

震災を政治利用しようとする政治家に「満身の怒りを持って抗議する」

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        熊本地震を受け、輸送支援を行う米軍の垂直離着陸輸送機
        オスプレイ=4月18日、熊本県南阿蘇村(福島範和撮影)

 ▼今回の地震で実家が被災した。実家といっても、老親が週末などを過ごす山小屋のことで、地震発生時はたまたま、そこにいなかったので、命を落とすこともなく、怪我をすることもなく済んだ。

 ▼ただ、裏の斜面が崩壊するなどして、「もう住めない」らしい。「らしい」というのは、まだ現場を確認できていないからだ。知り合いに様子を見てきてもらっただけで、年寄りが近づくのは危険だから、「絶対に見に行くな」と厳命している。

 ▼多くの人が家屋の下敷きになったり、土砂に巻き込まれたりして犠牲になったことを思えば、命があっただけでもありがたいと思わなければならない。しかし、中学卒業後、50年も働いてようやく手に入れた「家」を、一瞬で失った父の落胆を思うと、肉親としては忍びない。

 ▼つい、私事をつらつらと書き連ねてしまったが、今回の地震でも、改めて日本人の美徳を思い知らされた。災害現場で必死の救助活動にあたる自衛隊員や警察官、消防隊員。全国から駆け付けた医療関係者。少しでも被災者を助けようと救援物資を送る全国の人々。

 ▼そしてネット上には、無数の励ましや祈りの言葉があふれている。個人的にもひとごとでなくなった今回の大災害はいまだ先が見えないが、「ああ日本人でよかった」という実感だけは確かにある。

 ▼私的なことはいい加減、ここまでにして、本来の仕事の話を書く。震災後の永田町の風景は、「日本人でよかった」という私のささやかな思いを、きれいに打ち消してくれた。まずは、象徴的なシーンを紹介する。最初の震度7の地震が発生してから4日後、4月18日に行われた共産党の小池晃書記局長の記者会見で、こんなやりとりがあった。

 記者「今回の震災対応に、政府は米軍オスプレイの活用をするが?」

 ▼小池氏「ヘリコプターをもっと使うべきではないか。いっぱい持っているんだから。なんで米軍のオスプレイを使うのか。まずはヘリや使えるもので、やればいいのではないか(後略)」

 そして、翌19日付朝刊の朝日新聞に掲載されたのが、次のような記事。

 ▼「米軍の新型輸送機オスプレイが18日、熊本地震の被災地への物資輸送を始めた。オスプレイが日本の災害対応に使われるのは初めてだ。今回の救援活動に必要なのか。安全面に問題はないのか。疑問の声が出ているが、日本政府と米軍は、オスプレイの災害派遣での実績づくりを急いだ」

 ▼言うまでもなく、記者会見で小池氏に質問したのは朝日新聞の記者だ。記者会見での回答に飽き足らなかったのか、小池氏にさらに個別取材したようで、「オスプレイに対する国民の恐怖心をなくすために慣れてもらおうということで、こういう機会を利用しているとすれば、けしからんことだ」というコメントも記事には掲載されている。

 ▼もう、くどくどと解説するまでもあるまい。この記事や小池氏の発言から見えてくるのは、「オスプレイ=危険」「オスプレイ=悪」のイメージを拡散させたいという政治的な意志だけで、被災者を助けたいという人道的な意志はみじんも感じられない。少なくとも、私には。

 ▼共産党といえば、もっと醜い事案があった。次期衆院選に東京3区から出馬予定の香西克介氏が16日に行った募金集めの件だ。

 ▼香西氏は17日、自身のツイッター(すでに削除)で、「昨日の演説会は、(1)熊本の被災者救援(2)北海道5区補選勝利(3)党躍進-の3つの目的で募金の協力をよびかけ、賛同頂いた200人以上から37万円が寄せられました」と報告。しかし、(1)から(3)を「熊本地震 救援活動支援募金」と大書きした同一の封筒で行っていたことが分かり、「募金詐欺だ」として、瞬く間にネット上で炎上した。

 ▼これには小池氏も先の記者会見で、「普通に考えればやってはいけないことだ。こういうやり方はよくない」と苦言を呈したが、謝罪の言葉はなかった。この募金集めの場に、小池氏も同席していたというのに…。ここは共産党お得意のフレーズにならい、「満身の怒りを持って抗議したい」と言っておこう。

 ツイッターでの炎上といえば、民進党にもあった。

 ▼最初の地震が発生した直後の15日未明、民進党の公式ツイッターに「東日本大震災時の自民党のような対応を望みます」という書き込みがあった。これに対し、公式ツイッターは「それじゃあダメでしょうね」と返答。

 ▼さらに「一部の自民党の有力議員が原発対応についてデマを流して政権の足を引っ張ったのも有名な話」と根拠も示さず書き込んだため、これまた大炎上した。ここにも、「なんとか自民党の足を引っ張りたい」という政治的意志を感じる。それは私だけ?

 野党だけではない。与党にもひとこと。

 ☆2度の震度7の地震を経た週明けの18日。衆院では環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関する特別委員会の質疑が行われた。安倍晋三首相も出席し、NHKでも生中継された。

 ☆しかし、これ、やる必要があったのか。この時点で9人の安否が分からず、9万人以上の避難者がいた。TPP法案の重要性はともかく、NHK中継を見ていると、被災地と永田町の温度差ばかりが浮き彫りになっていた。

  どうか、永田町の先生方には、熊本・大分の人たちへの想像力を持ってほしいと強く願います。『政治デスクノート』(政治部次長 船津寛)

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    船津氏の叫び!『言い得て妙』




 至福のコーヒー




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 温かな湯気、深い味わい、そしてあの、ふくいくたる香り。映画「ア・フィルム・アバウト・コーヒー」を見て、思い出の「至福の時」が眼前によみがえった

 ▼一杯のコーヒーに人生をかけた人々の、情熱と哲学の記録。一粒一粒摘んだ豆を洗い、100キロの袋を自転車で運び、はるばる異国で焙煎(ばいせん)、抽出する―「種からカップまで」の長い旅路を知れば、心を落ち着かせ元気づけるコーヒーの魅力に納得し、感謝するばかり

 ▼米国のバリスタらと共に「伝説」と紹介されたのは、惜しまれつつ3年前に閉店した東京の「大坊珈琲店」の大坊勝次さん。故向田邦子さんが愛し、原稿を書いた店と聞いて憧れ、何度か訪ねたことがある

 ▼ネルのドリップをぽんぽんと指ではじき、糸のように細く湯を垂らす。寡黙な大坊さんの一分の隙もない所作に見ほれた。店内の時間は外よりもゆっくりと流れ、ぜいたくな静寂に身を浸した

 ▼夏目漱石は随筆「ケーベル先生」で「珈琲も飲んだ。凡ての飲料のうちで珈琲が一番旨いといふ先生の嗜好も聞いた」とつづる。敬愛した師にならい、松山や熊本でもコーヒーを傍らに思索の時間を過ごしただろうか

 ▼荒ぶる大地の脅威になすすべなく、どうか収まってはもらえまいか、と地震を思い、案じる春。必需品さえ届かぬ窮状を憂いつつ、できれば一杯のコーヒーや本を届けたい。人々がひととき安らぎ、熊本の日常を取り戻す力となるように【地軸】

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   コーヒーにまつわる名言

「よいコーヒーとは、悪魔のように黒く、地獄のように熱く、天使のように純粋で、愛のように甘い。」 ―フランスの政治家、タレーラン=ペリゴール

「コーヒーは地獄のように黒く、死のように濃く、恋のように甘くなければならない。」 ―トルコの諺

「数学者はコーヒーを定理に変える機械だ。」―ハンガリーの数学者、ポール・エルデシュ

「私は自分の人生をコーヒースプーンで計り尽くした。」―詩人T・S・エリオット

かく言う 珍念・目覚めたら、まずコーヒーを飲みます。至福の一時・・・・


   映画「ア・フィルム・アバウト・コーヒー 解説

◎2015年に米ブルーボトルコーヒーが世界初進出の第1号店として東京に店舗を構えるなど、近年、世界的な広がりや盛り上がりを見せる本格志向のコーヒーカルチャー。現在のコーヒー文化を牽引する、ニューヨーク、サンフランシスコ、ポートランド、シアトル、東京の5つの都市で活躍するコーヒー店オーナーらプロフェッショナルたちのコーヒーへの哲学や仕事ぶりなどを追った。

◎日本にも進出したサンフランシスコの「ブルーボトル・コーヒー」創設者ジェームス・フリーマン氏をはじめ、2013年に閉店した表参道の「大坊珈琲店」オーナー・大坊勝次氏、下北沢の「Bear Pond Espresso」オーナー・田中勝幸氏、表参道の「OMOTESANDO KOFFEE」オーナー・國友栄一氏ら、東京で活躍するコーヒーの達人たちも登場。コーヒーの「求道者」とも言える彼らのこだわり、コーヒーへの思いが描かれる。監督はサンフランシスコ在住のCMクリエイター、ブランドン・ローパー。

避難所になった刑務所 

          

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 大地震に見舞われた南米エクアドルでは、刑務所から約100人の受刑者が脱走したという。大正12年の関東大震災によって、東京の刑務所ではレンガ塀などが倒壊したものの、脱獄者は出なかった。むしろ被害が甚大だったのは、横浜刑務所である。

 ▼現在の所長にあたる典獄は、千人近い囚人を24時間に限って解放する決断を下す。出頭が遅れた者を含めれば、最終的に全員が帰還していた。元刑務官の作家、坂本敏夫さんは、近著『典獄と934人のメロス』(講談社)のなかで、奇跡のような事実を明らかにしている。

 ▼熊本市内にある熊本刑務所は、14日からの熊本地震の被害を免れている。受刑者の混乱もなかった。法務省によると、職員用の武道場などを開放して、近隣住民を受け入れている。刑務所が災害時に住民の避難場所になるのは、初めての試みらしい。他の刑務所からも、食料や飲料水などの物資が集まっている。

 ▼自宅を失った被災者の多くが、余震の不安におびえながら、避難所で窮屈な生活を余儀なくされている。たとえ損壊の程度が軽くても、不気味な余震が続くかぎり、家に戻るわけにはいかない。学校の施設に避難していた人たちは、授業の再開にともなって退去を迫られるケースも出てきた。

 ▼やむなくマイカーに寝泊まりする「車中泊」を選ぶ人も多い。狭い空間で長時間同じような姿勢を続けていると、血流が悪くなって血栓ができ、呼吸困難に陥る恐れがある。いわゆるエコノミークラス症候群の問題も深刻化している。とうとう死者が出てしまった。

 ▼被災者のストレスを少しでも軽くできるアイデアがあれば、前例にとらわれることなく、採用してほしい。熊本刑務所が、いいお手本である。【産経抄】

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   このコラム『的を射る』・・・・。



 『典獄と934人のメロス』 一瞬にして帝都を地獄に変えた関東大震災。横浜刑務所の強固な外塀は全壊、さらに直後に発生した大規模火災が迫ってきた。はからずも自由を得た囚人に与えられた時間は24時間!

 帰還の約束を果たすため身代わりになった少女は、大火災と余震が襲い流言飛語が飛び交う治安騒擾の悪路40キロを走る……これは、刑務所長がまだ典獄とよばれていた時代、関東大震災の渦中に、究極の絆を結んだ人々の奇跡の物語である。

著者・坂本敏夫からのメッセージ

 ◎私が横浜刑務所に人知れぬ謎があると知ったのは、昭和四十六年十二月のことだった。当時の刑務所長・倉見慶記を訪ねたときに彼は私にこう言った。

◎「関東大震災と第二次世界大戦中の記録すべてがなくなっている。戦争関係のものは、本省の行刑局長ら高官が戦犯としてGHQから逮捕されるのを免れるために、全刑務所に焼却等の処分を命じて証拠を隠滅したものだ。戦争の記録がないのはわかるが、関東大震災当時の記録がないのは合点がいかない。一人職員を紹介するから話を聞いてみるか」

◎そうして倉見が紹介してくれたのが、横浜拘置支所の刑務官・山岸妙子だった。本書に登場する福田サキの長女である。そして翌昭和四十七年二月、妙子の母・つまりサキ本人を横浜の自宅に訪ねた。老齢のサキは物静かだったが、穏やかな笑みを浮かべて、刑務所に駆け込んだ体験を語ってくれた。

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  これ以上は『蛇足』・・・

心のバトンリレー

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 どう時間を使うかで生き方が変わってくる。
おととい佐賀市で日野原重明さんの講演を聴いて、そんな思いを強くした


◆104歳の聖路加国際病院名誉院長。「自分のために時間を使っていい。でも、いつの日にか持っている時間をだれかのために使う時が来る。それこそが大事」。そんな言葉が心に残った

◆だれかが、だれかのために-。おととい佐賀大学の前を通りかかると、熊本出身の学生らが熊本地震の被災支援で街頭活動を始めていた。応援メッセージボードを掲げる佐大3年の小野公治さん(20)の家族も被災し、熊本市のマンションは住めなくなった。「これからどうしたら…」。途方に暮れる母親の電話に「居ても立ってもいられなくて」と仲間に呼び掛けて立ち上がり、街頭で募った救援物資を熊本に届けるそうだ

◆震災を経験した東北や兵庫県から物資を送るなど支援の輪が全国に広がっている。かつて助けを受ける側だった人たち。受け取ったものは物資や義援金だけではなかった。「多くの人が応援してくれている」「孤独ではないんだ」という温かな心の種のようなものも手にしたのではないか。それを別のだれかに届ける。バトンタッチである

届けた人の心にもやりがいという花が開く。できることをできる人がすればいい。きっと何かやれることがあるはずだ【産経抄】

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   珍念のコメントは『蛇足』!


「涙を止める薬をください」

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  事故で息子さんを亡くしたお母さんが、お医者さんにある頼み事をした。
 「涙を止める薬をください」。作家の小川洋子さんのエッセーにあった

▼食料や水に加え、その薬を一錠でも分けてあげたい熊本地震の被災地である。天井が崩れ、さっきまで横で眠っていた妻が見つからない。大学の同級生の遺体が毛布にくるまれ、運び出される。目の当たりにする死ばかりではない。思い出あふれるわが家が跡形もなく押しつぶされる。見慣れた故郷の光景が一変する。これからどうなるのか。どうすればいいのか。涙は止まるまい

▼それを止める薬はない。少しでもその代わりになる物があるとすれば、支援、手助けしかあるまい。警察、消防を中心に他の自治体からの応援が既に現地に入っている。ボランティアはまだ入れぬが、救援物資を届ける動きも広がっている

▼気のせいか、東日本大震災で被災した地域からの支援やその表明が早い。五年前、熊本からの支援に助けられた。今度はこちらがという気持ちが強いのだろう

▼涙を止める薬をもらった人はその痛みを知っている。だから泣いている人に一刻も早く薬を届けてあげたいのかもしれぬ

▼続く余震。崩落した山。寸断された道路。大自然を前に人の存在はなんと小さく無力であるか。それでも誰かに薬を届けたいと願う人の心がいとおしく、その崇高さを叫びたいのである。【中日春秋】

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    コメントは『蛇足』・・・・。


「命を守る」ことを全てに優先せよ!

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 後にも先にも、あれほどの恐怖を経験したことはない。足がすくみ、血の気が引き、全身の力が抜けていくのが自分でも、はっきりと分かった

▼東日本大震災の発生からひと月後の2011年4月7日の夜半、全国から派遣されていた本紙震災取材班の記者たちと、仙台市内の飲食店で遅い夕食を取っていた時のことである。突然に襲ってきた震度6強の最大余震。まるで大男に両肩を掴まれ、右に左に激しく揺さぶられているような感覚だった。

▼このまま生き埋めになるのでは・・・一瞬、そんな思いが頭をよぎったことも鮮明に覚えている。あの恐怖体験が今回、まざまざと蘇った。最大震度7の「熊本地震」である。

▼5年前に体験したあの激しい揺れを上回る地震など、到底、想像できない。どれほど怖かったことか。どれほど不安でいることか。「負けないで」「がんばって」。心の底からそう祈らずにはいられない。

▼それにしても気掛かりなのは、震度5,6級の余震が今も頻繁に起こり、しかも広域化していることだ。土砂崩れなど二次被害の拡大が懸念される。

▼非常事態下、言いたいことはただ一つ。『命を守る』ことを全てに優先せよ!
3・11が残したこの最大の命題と教訓を、政治は敢然と実行してもらいたい【座標軸】

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    珍念のコメントは『蛇足』!




熊本地震

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    地震前の熊本城





 「大水や台風への備えはしていても地震に備えていた人は…」。熊本市東区出身の知人がもらす。最大震度7を観測した14日夜の熊本地震。亡くなった方々の冥福を祈るとともに、けがをされた方々、被災された多くの方々に、心よりお見舞い申し上げる

▼激しい余震が何度も発生している。その度に、胃の腑(ふ)が持ち上がるようだろう。5年前から東北は、熊本をはじめとする九州一円から、たくさんの支援と応援をもらい続けてきた。同じように私たちも今、皆さんに心を寄せている

▼熊本城で石垣が崩れるなどの被害があった。戦国武将・加藤清正が築城の際に、最も力を入れた部分だ。緩やかな曲線が上に行くほど垂直になる。敵兵をはね返すような形なので「武者返し」という。だが、それだけが反り返った形の理由ではない

▼熊本の大地は阿蘇山の噴火による火砕流が堆積したもので軟らかい。そのために踏ん張った形にしたという。完成から13年後の1625年にあった大地震では、城内の火薬庫が爆発したものの石垣は一部が崩れただけだった。清正は防備だけでなく防災にも心を砕いていた

▼熊本市民の心のシンボルとなっている熊本城は、傷つきながらも毅然(きぜん)と立っている。400年前の先人が励ましている。決して一人ではない。【河北春秋】

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       珍念の灰色の脳細胞に、岩波書店から刊行 
       された。寺田寅彦著『防災科学』が思い浮かぶ!





 日本の国土全体が一つの吊(つ)り橋の上に乗っているようなもの-。科学者で震災予防にも関わった寺田寅彦がこんな意味のことを言っている。吊り橋のワイヤが切れれば大損害を被る。地震の多いこの国は(危うきこと累卵の如し)

 で、具体的にどうすれば?   ┐( ̄ヘ ̄)┌ フゥゥ~

森の国

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 「ピアノは打楽器のように扱う」と言ったのは、20世紀前半に活躍した作曲家バルトークである。演奏中にピアノの裏側をのぞくと、羊毛のフェルトでできたハンマーが鋼(はがね)の弦を力強くたたいている

▼この人にはピアノが森に見えたらしい。弦の張り方が木のようで羊もいる。本屋大賞を受賞した宮下奈都(なつ)さんの小説「羊と鋼の森」は音の森を豊かにする調律師の物語だ

▼森を連想した場所が一時移住した十勝管内新得町と聞けば、道民として心が動く。エッセー「神さまたちの遊ぶ庭」にその体験が記されている

▼左右に高い山が迫り、<空気は音符で言うとソみたいな澄んだ味>。ひたすら食べ、飲み、話す住民の力に圧倒される。次第に都会人の考えに反発を感じるようになる。<最寄りのスーパーまで30分かかると言うが、都会なら通勤に30分以上。田舎を不便と思うのは頭が固い>

▼宮下さんは、育った福井との違いが季節感ではないかと気付く。新得では春から秋にかけて自然の装いが変わる間隔が短くなる。「油断をしていると別の世界につれて行かれるような怖(おそ)れを感じる」と、北の大地の奥深さをかみしめたという

▼受賞作には、ピアニストの道を諦めようとする女性に主人公が投げ掛ける言葉が出てくる。<森の入り口はどこにでもある。森の歩き方も、たぶんいくつもある>。そう、北海道もそんな森なのだろうか、と思った。【卓上四季】

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  「羊と鋼の森」商品の説明 内容紹介

◆ゆるされている。世界と調和している。それがどんなに素晴らしいことか。
言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。

◆「才能があるから生きていくんじゃない。そんなもの、あったって、なくたって、生きていくんだ。あるのかないのかわからない、そんなものにふりまわされるのはごめんだ。もっと確かなものを、この手で探り当てていくしかない。(本文より)」

◆ピアノの調律に魅せられた一人の青年。彼が調律師として、人として成長する姿を温かく静謐な筆致で綴った、祝福に満ちた長編小説。

強く推す。  投稿者  アジアの息吹   
 
☆何千冊と本を読んできたが、新刊が出る度に安心して購入でき、そしてそのいくつかの作品が、本当に心に沁みる作家は現在、私にはこの宮下奈都しかいない。『スコーレNo.4』の頃から、初期のアンソロジーに含まれる短編たちも含めて、彼女は少しずつ少しずつその世界を押し広げてきた。

☆華やかで、転身の早いベストセラー作家に比べると、明らかに軽やかさには欠ける。しかしここにきて、いぶし銀の輝きを放ち始めた。設定だけを取り出すと、本書は『スコーレNo.4』の女性主人公を、草食男性に置き換えただけのように見える。

☆しかし本当に大事だけれども、些細なモノゴトを掬い上げる視点とそれを感情の襞を通じて紡いでいく端正な文章はデビュー作の頃から比べると、桁違いに上手い。

☆羊や森といったキーワードで物語を引っ張っているため彼女特有の過去と現在を織り交ぜるギミック的構成は影を潜めているが、『終わらない歌』などで魅せた畳み掛けるラストの疾走感には脱帽。強く推す。

 
祝!本屋大賞受賞。嫌な人が出てこなくて、優しい穏やかな気持ちの人になれる気がする小説だった。  投稿者  水無月生まれ

☆調律師の物語。私は楽器をしている人間ではないし、音に敏感なわけでもなく、ただ音楽を聴くのが好きなだけの素人なので、最初は、この本には興味が持てずにいた。本屋大賞のノミネートで、ちょっと読んでみるかなと購入したのだけれど、気持ちのいい、まっすぐな小説で気分よく読み終えた。

☆嫌な人が出てこなくて、優しい穏やかな気持ちの人になれる気がする小説だった。本屋大賞はどうなるかが楽しみだけれど、インパクトが強い小説ではないから、時代としては、よわいかなあ。(と思っていましたが、昨H28/4/12、本屋大賞、受賞されました。宮下さんのコメントよかったです。本当におめでとうございます。

青年の成長をみずみずしく描く 投稿者 hirosh

◎冬はマイナス30度になる北海道の山村で育った青年・外村がピアノ調教師をめざす物語である。高校2年の時、彼は高校の体育館でピアノ調律師に運命的に出会い、進路を決めた。調律師養成学校を出ると楽器店に勤め、先輩たちから教わりながら歩み始める。大きな振幅のない物語だが、彼の内面は大きな成長をとげていく。

◎外村は特に音感が優れているわけではなく、ピアノも弾けない。だから彼には不安も迷いもある。尊敬する先輩の調律師からは「焦ってはいけません。こつこつです」とアドバイスをもらう。「この仕事に正しいかどうかという基準はありません」とも言われる。

◎それを聞いて自分なりの努力をして技術を身に着けていくしかないと気づく。努力と苦悩と葛藤の末に「才能があるから生きていくんじゃない。あるかないかわからない。そんなものにふりまわされるのはごめんだ。もっと確かなものをこの手で探り当てていくしかない」と彼は考えられるようになった。

◎ピアノと向き合う毎日の中で、外村は顧客の希望する音の背景にあるもの、そのピアノと顧客の歴史やピアノを弾く環境や弾く人の力量までも理解して音作りをすることの重要性を学ぶ。絶対的ないい音ではなく、顧客にふさわしい音をつくるのである。

◎そう気づいたのは人間としての彼の成長の証なのだろう。あたたかな職場の人たちに支えられて外村は確たる道を見出していく。自意識を捨ててピアノと演奏者のために尽くす心境に達したとき、彼に転機が訪れる。ピアノは羊毛を固めたフェルトでできたハンマーが鋼の弦を叩くことで音が鳴る仕組みになっている。

◎弦がずらりと揃った状態を外村はまるで森のようだと思う。その羊と鋼の森からは芳醇な音楽が生まれる。そして、外村がピアノの音を聴くときまってふるさとの森がよみがえる。音が連れてくる景色が鮮やかに浮かぶのだ。音を言葉で表現するのは難しいはずだが、著者は、響き渡るピアノの音と彼の心に起こった変化を美しい言葉を用いて伝える。

◎緊張を含みながら静謐で澄み切った文章がここちよい。背後でショパンのピアノの気配を感じつつ読み進めた。インタビューで著者は「外村が私を励ましてくれた」と述べている。それは私も感じた。ひたむきに努力する外村の姿に心動かされる読者は多いだろう。じっくり味わいながら読むべき小説である。



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秋山さんなら

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 秋山ちえ子さんは、女性リポーターの草分けだった。どんな題材でも現場に足を踏み入れ、確かめずにはいられない。戦後まもなく、NHKラジオ「私の見たこと聞いたこと」を担当していたころのエピソードである。高知県でカツオ船に乗り込もうとして、断られた。「女一人は縁起が悪い」というのだ。

 ▼相乗りの相手を求めて、浜のおかみさんを説いて回ったが、誰も応じてくれない。秋山さんは雑貨屋で人形を買って、漁船に向かった。「これで女一人じゃないでしょう」。漁師は根負けするしかない。翌朝3時から夜の9時ごろまで、船酔いに苦しみながら取材を続けた。

 ▼TBS系ラジオ「秋山ちえ子の談話室」が始まったのは昭和32年である。40歳の秋山さんは、2男1女の子育ての最中だった。安保騒動では、デモに出かける高校生の次男についてゆき、涙を流しながら放送で訴えた。「同じ日本の若者、学生と機動隊を憎しみ合うように追いやったのはだれだ」。

 ▼戦前、ろうあ学校の教師を務めた経験もあって、福祉問題にも熱心に取り組んだ。政治の話題から、子育てや老後の生き方まで、一日も休まずリスナーに語り続けた。気がついたら45年、放送回数1万2512回の金字塔を打ち立てていた。

 ▼ラジオの仕事に区切りをつけてからも、評論活動を続けてきた。その秋山さんが、99歳で亡くなった。訃報が載った昨日の新聞は、千葉県で開園予定だった保育園が建設断念に追い込まれたニュースを伝えていた。

 ▼周辺住民の強い反対によるものだ。開園を楽しみにしていた人の落胆は大きいだろう。「子供の声で騒がしくなる」「仕事に復帰できない」。秋山さんなら両方の言い分に耳を傾けて、どんな裁定を下すだろう。【産経抄】

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このコラム『頂門の一針』痺れる。  珍念の裁定は・・・



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    平成の世に「アトリの鐘」があればなぁ。

居(い)候(そうろう)

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  落語の居(い)候(そうろう)はたいがい勘当(かんどう)された若旦那(わかだんな)で、物の役に立たない。だが居候も食客と言い換えると、多彩な才能によって有力者に抱えられた古代中国の論客、政客、剣客などを思い出す。なかでも「食客三千人」といわれた孟(もう)嘗(しょう)君(くん)の話は有名だ

▲「鶏鳴狗盗(けいめいくとう)」は斉(せい)の王族・孟嘗君が秦(しん)を逃れて命拾いするのに、同行の食客の才が役立った故事に由来する。才といっても犬のように素早い盗みと鶏の鳴きまねだった。鶏鳴狗盗はつまらぬ才のたとえとされたり、いざという時に思わぬ芸が役立つのを表したりする

▲人は体の内にも多くの居候、あるいは食客のような微生物を抱え、それらと共生している。大腸内にすむ腸内細菌がその代表で、種類は約1000、数にすれば数百兆個というから孟嘗君もびっくりだ。それら腸内の食客が健康に及ぼす影響をめぐる最新研究である

▲それによると日本人にはコメなど炭水化物から無駄なく栄養素を作る腸内細菌が外国人に比べ際立って多かった。また外国人に少ない海藻(かいそう)を消化する細菌が大半の日本人に見られた。早稲田大の研究チームが日本人と外国人の腸内細菌の遺伝子を比較した結果である

▲日本人の腸内細菌にはDNAの修復にかかわる遺伝子が少なかったという。人間のがんにもつながるDNAの損傷の起きにくい腸内環境がうかがえる。研究者は腸内細菌の特徴が日本人の長寿とも関係している可能性があるというから、恐るべきは食客の才腕である

▲日本人の腸内細菌の顔ぶれがフランスなどと近いのも意外だった。それら食客をそろえて寿命を延ばした知恵者に話を聞きたい腸内の鶏鳴狗盗である。【余録】

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   このコラム『言い得て妙』




 

 

「初心忘るべからず」

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 真新しい制服やスーツに身を包んだ若者が、街を行き交う。「初心忘るべからず」という言葉が心に浮かんだ

▼能の大成者・世阿弥がこの言葉を書き残したのは、還暦を過ぎてからだった。室町幕府の3代将軍・足利義満に寵愛されたが、6代・義教の代になると数々の弾圧を受け、能の秘伝書を若い甥に譲るよう強要される。それでも世阿弥は、枯れゆくことを拒み、ひたすらに己の道の完成を目指すのである

▼「初心」というと、現代では専ら、“芸能や学問を始めたころの気持ち”という意味だが、世阿弥は『花鏡』で、初心には、ほかに二つあると述べた。一つは、修行のそれぞれの段階の初心、もう一つが「老後の初心」である

▼座談会で毎回会う87歳の壮年がいる。自動車会社を退社した後も、はつらつと学会活動と地域貢献に励む姿に頭が下がる。「私は池田先生と同じ年の生まれ。先生が世界広布の指揮を執られているのだから、私も『いよいよ』の思いで戦います」と

▼「初心に帰る」とは、ただ過去を振り返ることではない。視線を未来に向け、さらなる成長へ、誓願を立てることだろう。ゲーテも言っている。「誰が自分自身を知ろう、自分の能力を誰が知ろう。勇気ある人はやれるだけやってみるのだ」(松本道介訳)【名字の言】

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【光陰矢の如し】 

 ※斯く言う【珍念】51年前、千歳の自衛隊勤務の時、鈴蘭の花を{池田大作}先生にお届けしました。数日後、(会長講演集)9・10・巻と激励の伝言を戴き感激しました。 本のお礼と自分の決意を述べるため、真剣に祈りました。

※東京、の学会本部に行き、池田先生とお会いし、大激励を受けたことが昨日の出来事のように耳朶に残っています。頂いた(お土産)は大事に保存しています。 その時の燃え上がる情熱が有るや否や?

不肖:珍念。「初心忘るべからず」を肝に、命ある限り邁進したい!

お笑いコンビ麒麟(きりん)の田村裕さん

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     お笑いコンビ麒麟(きりん)の田村裕さんは中学生でホームレスとなった。著書「ホーム レス中学生」によると、母親が病死、その後父親もがんを患ったことが原因で職を失い借金取りが家に来るようになった。父親の「解散!」の一言で家族は離散した


▼病気が原因で家族離散とは、誰にでも起こり得る話だ。田村さんと同様に親の事業の浮き沈みで厳しい子ども時代を送った人、そのような状況に置かれている人も多いだろう

▼一方、沖縄では貧困が何世代にも続く世代間連鎖が課題となっている。田村さんは「親の病気」がきっかけだったが、それを「沖縄戦」に置き換えると沖縄の貧困の背景が見えてこないだろうか

▼両親を失った「戦争孤児」、家計を助けるため働きづめで学校に行けなかった人、十分な教育が受けられず就職先が限られてしまった人を思い起こしたい。福祉の恩恵は復帰まで微々たるもので本土との格差は広がった

▼田村さんを含め逆境から今の安定した生活を手に入れた人はよく報道される。しかし厳しい生活のまま亡くなっていった人やその子や孫が今どのような状況に置かれているのか、思いをはせずにはいられない

▼田村さんは同級生の親たちに救われ、約1カ月のホームレス生活に終止符を打った。「こども食堂」の広がりに見られるように、気付き、行動することは未来への希望につながっている。【金口木舌】

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  コラミストの筆致は素晴らしい!




田村裕「ホームレス中学生」商品の説明 内容(「BOOK」データベースより)

 ダンボールを食べ、ウンコの神様と呼ばれた…麒麟・田村のせつな面白い公園生活!!麒麟・田村の貧乏自叙伝。

トップカスタマーレビュー

優しく強く育った子ども 投稿者  ドア子   

◆大好きだったお母さんが小学生のときに亡くなり、中学生になったらお父さんが崩れてしまい、失踪。大学生の兄と高校生の姉と共に中学2年生でホームレス。お父さんを恨むことなく、兄姉には気丈に振る舞い、一人公園で始まった「ホームレス」生活。その後、友人、友人の両親、親戚、兄、姉、そして学校の先生らに助けられ、兄弟3人での生活がスタート。

◆亡くなったお母さんを始め、まわりの人々に対する感謝に溢れた文章です。お兄さん、お姉さんといい、子ども3人、よくこれだけ強く、優しい子どもに育ったなと、お母さんもさぞ誇らし気なことだろうと思います。

◆お湯で感動できる幸せのハードルが低い人生。全てのものに対する感謝の気持ちがあればこそだろうと思います。夜、布団の中で泣きながら読み切りました

。・゚・(ノД`)・゚・。 うえええん 投稿者  アマゾン花子   

◆田村って、ほんといいヤツだな。途中で、「自分は生きててもしかたないから、死にたい」って、田村がアノミーになるシーンがあるんですわ。自分も、ずっと、ずっと、そう思ってきた。

◆30になる今まで、毎日、朝起きたら、死んでるといいなあ、とか、車に撥ねられたいなあ、とか、乗ってる飛行機が落ちないかなって、いつも思ってた。だから、田村の気持ちが凄くわかった。

◆そして、その田村がアノミーから脱出していくとき、自分も、少し、救われたんよ。もうちょっと生きててもいいかもしれん、ってマジで思ったよ。ありがとな。この本読まなかったら、一生、死にたいって思ってたかもしれない。

   ウソでも捏造でもなかった貧乏ネタの事実  投稿者  かわさきひかる

◆きっとずいぶん話が大きくなってるんだろう、とか、半分以上ウソだろと
バラエティ番組を見ながら思っている人も多いと思うが、おそらく、ひとつひとつ自分で思い出しながら書かれたであろう事実は、「麒麟・田村の貧乏ネタ」以上のリアリティがあった。

◆自分も10代で親を癌で亡くし、国の制度に助けられながら、親類の面倒にならずに過ごしたので、生活保護の金額が変わることによる苦しさの章や、
友達にも言えない悩みの部分は涙なしでは読めなかった

 読者の皆さまへ。田村裕「ホームレス中学生」暇なとき、ご覧下さい。
きっと心が・・・これ以上は『蛇足』!

耳を削る

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 昔、ある役場の塀にS字形の奇妙な穴が開いていた。その中に耳たぶが入る者は納税義務がない。人々はこぞって耳を小さくしようと考えた。闇手術がはやり、耳縮小専用のメスが後世に残った―

▼遺物を形見として扱う博物館を寓話(ぐうわ)風に描いた小川洋子さんの小説「沈黙博物館」の一こまである。いつの世も納税額を抑えたいと思うのは人情だ。それでも巡り巡って自分に跳ね返ると思えばしぶしぶでも納める

▼なのに小説さながら特殊な術を施してもらってまで節税したいと思う人もいるようだ。できれば資産をまるごと外国に隠したい、と。それを手伝う医者ならぬ法律事務所もあるというから聞き耳を立ててしまう

▼中米のタックスヘイブン(租税回避地)を舞台にした各国首脳らの課税逃れ疑惑である。文書で名指しされたアイスランド首相は辞任した。回避地でお金をやりとりしても直ちに違法とはならないが、脱税や資金洗浄、テロ組織への資金提供の温床になると聞けば放っておけない

▼今のところ日本の政治家の名は出ていないが、かつて消費者金融大手の創業者一家でも似た問題があった。会長の長男が香港に滞在し、贈与税を免れようとした

▼税金川柳の一句を思い出す。<長生きの秘訣(ひけつ)聞かれて相続税>。なけなしの資産を守るのにあくせくする毎日。片や税逃れの意図がちらちら見える人がいるとは。ため息ばかり漏れる。【卓上四季】

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    このコラム『起承転結』 素晴らしい!
    珍念のコラムは・・┐( ̄ヘ ̄)┌ フゥゥ~








「沈黙博物館」商品の説明 内容(「BOOK」データベースより)

耳縮小手術専用メス、シロイワバイソンの毛皮、切り取られた乳首…「私が求めたのは、その肉体が間違いなく存在しておったという証拠を、最も生々しく、最も忠実に記憶する品なのだ」―老婆に雇われ村を訪れた若い博物館技師が死者たちの形見を盗み集める。形見たちが語る物語とは?村で頻発する殺人事件の犯人は?記憶の奥深くに語りかける忘れられない物語。

トップカスタマーレビュー

死と隣り合う不思議な世界から抜け出せなくなった人の物語  投稿者  ともぱぱ 
 
◆著者の作品には、生と死・過去・記憶が様々な形で関わってくるが、本作はそれらを真正面から受け止める物語だ。博物館技師の「僕」がアンネ・フランクの日記を傍に置いていることから、著者がアウシュヴィッツで見たユダヤ人のメガネの山、靴の山、髪の山を見たことや、アンネ・フランクの日記自体拾われた形見であることが本書執筆の動機になったのだろう。

 ◆アウシュヴィッツのような極限状態でなくても、人は必ず死に、一見価値がないものでもその人が生きた証を残すはずで、そのような「形見」は永遠にこの世に記録されるべきであるという信念の下、「僕」たちは、この世とあの世を隔てる沼の渡し船の漕ぎ手であり続けることを甘受したかのように行動する。描かれるのは死と隣り合う不思議な世界で、本書は日常的な死を巡る冒険談だ。

なお、ミステリーの要素があるが、多くの人は途中で犯人がわかるだろう。しかし、犯人がわかっても予想外の展開を求めて最後まで読ませる筆力はさすがだ。

   
小気味よい小川ワールド 投稿者  芽穂   

 ◆博物館を作りたいという老婆を主人公の青年がサポートしていく物語です。何を陳列するか・・そこがこの物語のポイントになります。それは、タイトルから判るように沈黙しているものになります。

 ◆それを収集するために少しの苦労と少しの冒険?が展開していきます。
収集したものには、さまざまな意味があり、思い入れがあります。小川洋子さんの作品は、8割方読んでおりますが、この本はとても小気味よい小川ワールドが繰り拡げられれた素敵な作品だと思います。

 ◆読み進めていくうちに世界に引き込まれ、自分も何かを収集したくなるかもしれません(笑)実際に私は、図書館で”博物館”に関する資料を閲覧してしまいました。”物”に対する考え方が少し変わる本かもしれません。

        今日も、珍念の(オチ)は冴えません!

 

「貧乏な人とは、無限の欲があって、いくらモノがあっても満足しない人」

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 その穏やかな笑顔からは想像できない経歴だ。ウルグアイ前大統領のホセ・ムヒカさんは、1960年代に極左ゲリラ組織へ身を投じた。銀行襲撃や政治家誘拐で14年間にわたり服役した後、政界に入った。

 ▼2012年の国連での演説が有名だ。「人はモノをお金で買うのではない。お金をためるために割いた人生の時間で買っている」。大量消費社会への痛烈な批判である。報酬の9割を貧しい人々に寄付し、質素な農場に暮らす清貧ぶりも、国民の心をつかんだ。

 ▼他の政治指導者に清貧を求めるのは理想論だろうか。租税回避地(タックスヘイブン)を利用した課税逃れ疑惑が浮上している。アイスランドでは、巨額取引が発覚した首相が辞意を表明した。

 ▼租税回避地は税金が免除されたり、極めて低かったりする国や地域のことだ。外国資本や外貨を呼び込むためで、一概に違法とは言えないが、脱税の温床との指摘は絶えない。

 ▼ロシアや中国、イギリス首脳らの親族や周辺人物による金融取引、ペーパーカンパニーの所有などが明らかになっている。政治のコネを利用した、意図的な財産隠しとの疑念は消えない。

 ▼ムヒカさんは今でも「世界でいちばん貧しい大統領」と親しまれている。「貧乏な人とは、無限の欲があって、いくらモノがあっても満足しない人」と説く。蓄財にいそしむ政治指導者たちに、いま一度聞かせたい。【南風録】

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「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」 【内容情報】(「BOOK」データベースより)

◆2012年、ブラジルのリオデジャネイロで国際会議が開かれました。環境が悪化した地球の未来について、話し合うためでした。世界中から集まった各国の代表者は、順番に意見をのべていきました。しかし、これといった名案は出ません。

 ◆そんな会議も終わりに近づき、南米の国ウルグアイの番がやってきました。演説の壇上に立ったムヒカ大統領。質素な背広にネクタイなしのシャツすがたです。そう、かれは世界でいちばん貧しい大統領なのです。給料の大半を貧しい人のために寄付し、大統領の公邸には住まず、町からはなれた農場で奥さんとくらしています。

 ◆花や野菜を作り、運転手つきの立派な車に乗るかわりに古びた愛車を自分で運転して、大統領の仕事に向かいます。身なりをかまうことなく働くムヒカ大統領を、ウルグアイの人びとは親しみをこめて「ペペ」とよんでいます。

 ◆さて、ムヒカ大統領の演説が始まりました。会場の人たちは、小国の話にそれほど関心をいだいてはいないようでした。しかし演説が終わったとき、大きな拍手がわきおこったのです。

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   珍念 感動しました!

届けたい

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   「ながれぼしそれをながびかせることば」

 







▼「七五三(しめ)10人きょうだい 合わせて753歳」。見出しの下に10人の笑顔が仲むつまじく並ぶ。大洲市河辺町で七五三という縁起のいい名字の家に生まれ育ったきょうだい。上は87歳から下は63歳まで計753歳に―

 ▼ふるさとに集い、健康を祝ったきょうだいの様子を昨夏、本紙が紹介した。戦前から戦後にわたる幼少期の記憶を寄せ合って文集を作製。食糧難の時代もかくれんぼや鬼ごっこが楽しかったという

 ▼この記事に目を留め「皆さん、お元気で」とコメントを寄せた宇和島市の安部幸恵さんが、日本新聞協会の「HAPPY NEWS賞2015」に選ばれた。地元支局の記者の心を捉えたぬくもりが、読者につながったことがうれしい

 ▼「ながれぼしそれをながびかせることば」福田若之。松山東高出身の俳人・佐藤文香さんがこのほど出版した「俳句を遊べ!」(小学館)の一節を思い出した。一瞬で消える流れ星。思い、祈っている間、その言葉分の時間の流れ星が存在し、紙に書いて残せば永遠にもなる

 ▼佐藤さんは、かつてインタビューで話していた。「音楽を聴いて鳥肌が立つような、この景色の中にずっといたいと思うようなとき、歩み寄ってつかみたい」

 ▼地域の片隅、人々の暮らしに、きらっと光る物語がある。深い思いの中に物事の本質がある。歩み寄り、耳を傾けてつかんだ言葉を読者に届け続けたいとあらためて思う。今、春の新聞週間。【地軸】

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「俳句を遊べ!」<書籍の内容>若き俊英俳人が俳句を一から指南!

 ◆2016年3月から、小学館はムック・シリーズ「コ・ト・バ・を・ア・ソ・ベ!」をスタートさせます。このシリーズは、「遊びとしてのコトバ」の楽しみ方を、さまざまな角度から紹介するユニークな試み。その第一弾が、若き俊英俳人・佐藤文香が編集する『俳句を遊べ!』です。

 ◆若い俳人のオピニオンリーダーとして、またサブカル系文学者・文化人たちとの俳句を通じた交流でも知られる佐藤文香(1985年生まれ)が、俳句の楽しさ、おもしろさをレクチャーします。

 ◆生徒になるのは、モデル、イラストレーターとして活躍しつつ、エキセントリックなキャラでカルトな人気を誇る水野しずと、気鋭のアニメーション作家、ひらのりょうの二人。

 ◆20代の二人が、数歳年上の「佐藤先生」に俳句を一から学び、人気俳人の池田澄子、作家の長嶋有をゲストに迎えた吟行句会でガチンコ対決! さらには一般参加者たちとの公開イベントで本気の勝負!

 ◆そして又吉直樹(芸人・作家)と佐藤文香の対談では、「又吉流・俳句の楽しみ方」をじっくりと語ります。コミックエッセイ仕立てのページで俳句のウンチクを伝え、水野・ひらののイラストや写真も満載の楽しい俳句入門です。

竹の子は おとぎの国の かぐや姫』 (珍念) モジモジ(。_。*)))

    「一人のために」

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 大学で学生生活を謳歌したいと夢を描きつつも、不安を抱える一人の高校生がいた。彼は病の影響で片手しか自由に動かせず、靴ひもが結べない

▼そこで彼は、世界的スポーツ用品企業に手紙を書いた。「一人で洋服を着ることはできますが、今でも親にシューズの紐を締めてもらわなくてはなりません。自分で自分のことを全てできるようになりたい……」(「ナイキ・ジャパン」プレスリリース)。受け取った関係者は3年を費やし、彼の夢をかなえる靴を開発し、商品化した

▼「一人」のために尽力した結果、その一人だけでなく、多くの人に喜びを届けられることがある。以前、教員の友から聞いた、こんな話を思い出した

▼利き腕を骨折した生徒のために、授業中、クラスメートが順番に、彼のノートも取ることになった。彼が復習しやすいよう、皆が書き方を工夫した。その結果、クラス全体の学力が向上。その後、腕が治った彼は全員にお礼の手紙を送り、とても仲の良いクラスになったという

▼「皆のために」と漠然と言っているうちは、事態は動かないものである。具体的な「一人」のために、心を砕き、行動することから、組織が、地域が、ひいては世界が変わり始める。「一は万が母」(御書498ページ)である。【名字の言】

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 斯く言う(珍念) 『論語読みの論語知らず』 お笑い下され~い!


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  自動靴ひも装置の靴
  まずはこのスニーカーの機能を見てみよう。



 ローンチ発表でNikeはこのスニーカーについてアスリートの良くある悩み「集中力が途切れる」ことを減らすとした。そして履く時間を削減するため、スニーカーに足を入れるとすぐに靴紐が自動で締まる。

 「かかとがセンサーに当たると、システムが自動で締まります」とこのプロジェクトの技術を担当するTiffany Beersは言う。「横にボタンが2つ、締めるのと緩めるために付いています。履心地を完璧にするために調整できます」。

 このスニーカーは2016年ホリデーシーズン中に発売し、色展開は3色だ。価格はまだ公表しないが、Nike+のメンバーしか入手できないという。 Nike+はNikeのプロダクトやイベントなどの情報が詰まったオールインワンアプリだ。

Nikeのスニーカー是非、欲しいです・・・( ^ω^)おっおっおっ 

どう考えても

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  作家篠田節子さんの著書に「斎藤家の核弾頭」がある。管理された階級社会の上位にいた主人公が一転、「役に立たない人間」との烙印(らくいん)を押され、理不尽な国家に抵抗する

▼主人公の職業は裁判官。失職し、転落した原因は裁判のコンピューター化だった。争い事をパターン化し、豊富に蓄積すれば、事案の要件事実を入力するだけで、一瞬にして判決が出てしまう

▼コンピューター処理能力が飛躍的に向上すれば、あながちあり得ない話でもない。実際、そんなことを想起させるようなパターン化された判決が現実社会でも続いている。嘉手納、普天間の爆音訴訟がそれ

▼普天間の第2次訴訟は3月24日に結審した。飛行差し止めを争点とした訴訟は、ことごとく「第三者行為論」で退けられている。米軍の飛行は日本国の指揮権、管理権が及ばない第三者の行為で、日本国が差し止めを求められないとする

▼判決は年内に言い渡される見通しである。過去の判例をなぞるような判決になるのかが焦点となる。同様な事案で判決に違いがあれば、法的安定性が損なわれるとの指摘もあるが、間違いは正すべきである

それにしてもだ。住民が多大な迷惑を被り、裁判所がそれを認めて賠償命令を出す。だが、根本的原因の爆音は放置されたまま。そんな堂々巡りがいつまで続くのか。どう考えてもおかし過ぎる。<金口木舌>

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   どう考えても・・・?




「斎藤家の核弾頭」商品の説明 内容(「BOOK」データベースより)

 「国家主義カースト制」によって超管理社会となった2075年の東京。政府の謀略により長年住み慣れた家からの立ち退きを強制された斎藤家は、理不尽な転居命令に抵抗し、近隣住民とともに手製の核爆弾を武器に日本国に宣戦布告する!明日を予言したスラップスティック小説の傑作。

トップカスタマーレビュー

大人版「バトルロワイアル」 投稿者  くま 

◆西暦2075年、日本は未曾有の大地震を経て超管理国家になった。-といっても現代の官僚主義、ことなかれ主義、(性や学歴などの)差別、環境破壊、軍事大国などの困った要素が少し(大いにか!?)進んだだけの話だ。
話題作「バトルロワイアル」は島の中に隔離された中学生が理不尽な殺しあいをさせられる話であったが、この物語も、殺しあいこそさせられないが、島の中で国家によって理不尽にも殺される同じようなサバイバルストーリーである。そして主人公は大人達だ。

◆中学生の話なら悲劇になるが、大人の話なら喜劇になる。だって我々がこんな状態におしこめられたら…笑わずにはいられるか?もちろん客観的な事実は中学生の場合よりさらに悲劇的でリアルである。政府の対応はなかなか手が込んでいるし、それに対する住民の対応も非常に高度だ。

◆ところで、斎藤誠一郎!!裏表紙の本の紹介とは裏腹にこの主人公の男はなかなか目覚めない。いい加減世界はどうなっているのか、正直に見据えろよ。まったく。女性のみなさん、男ってやつはこんな奴多いかもしれないが(でも頼りになるところもあったでしょ)まあ、気長に見てやってください。

解説は小谷真理。 投稿者  kaizen

◆やりたい放題。空想科学小説(SF)であることは間違いない。解説は小谷真理。2075年カースト制度のようなものが日本に定着している。原発といわずに原電という。この話題、東電が採用するかも。原発と原電を軒先で作ってしまうところがすごい。本当にやりたい放題。こんな、葉茶滅茶なところが作者にあったとは。すごい。

『ここに泉あり』

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 ▼「私ではなく、みなさんでいただいた賞だと思います」。第30回高崎映画祭記念特別賞を受けた女優、岸恵子さんの、授賞式での言葉が強く印象に残った

 ▼終戦直後、高崎で活動を始めたころの群馬交響楽団を描いた映画『ここに泉あり』(1955年、今井正監督)のヒロインを務めた。「みなさん」とは、マネジャーを演じた小林桂樹さん(前橋市出身)や岡田英次さんら、故人となった出演者のことをさすという

 ▼映画は全国で大きな反響を呼び、苦境にあった群響が群馬の文化の象徴として育っていく原動力にもなった。しかし、本県にもたらしたものはそれだけにとどまらない

 ▼撮影を前に地元でつくられた後援会には10万人もの県民が入会。不足する製作費に会費が当てられたほか、エキストラの大量動員などさまざまな協力を行い、県内各地で行われたロケ現場は見物人であふれた

 ▼そんな映画に関わる濃密な経験、文化との出合いが、「映画の街・高崎」の土壌をつくったと言えるだろう。高崎映画祭が市民の熱い思いをもとにこれほど長く続けられてきたのも、『ここに泉あり』が少なからぬ作用を及ぼしているに違いない

 ▼だとすれば、今回の特別賞の対象は、この映画そのものでもあり、製作に共感し支援した人たちも含まれるのではないか。足元を見つめ直す、節目にふさわしい表彰だ。 【三山春秋】

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『ここに泉あり』 ストーリー

 ☆終戦直後結成された市民オーケストラは働く人や子どもたちに美しい音楽を与えようと努力するが、人がいいマネージャー井田の奮闘にもかかわらず、楽団員の生活は苦しかった。唯一の女性楽団員佐川かの子は、音楽学校を出たばかりだが、田舎にくすぶっていてはピアノの腕が落ちると悩んでいた。

 ☆新しく参加したヴァイオリンの速水は彼女を励ますものの、自身も苦しかった。解散止むなしと追いつめられ、最後と思って利根源流の山奥の小学校へ行くと、思いがけずの大歓迎を受け、みんなで「赤とんぼ 」を合唱して感動する。草津にあるハンセン病療養では入所者たちが不自由な手で「音のない拍手」をする。

 ☆速水とかの子は結婚するが生活は苦しく、将来への不安も大きくなるばかりだ。軍楽隊上りの工藤や丸屋は楽器を質に入れたり、チンドン屋になったりして頑張っていた。井田は東京から山田耕筰指揮の交響楽団とピアニスト室井摩耶子を招いて合同コンサートを開くことにしたが、余りに大きな技術の差に一同は落胆。

 ☆2年後、耕筰は旅の途中で彼らの練習所へ立寄る。生活と闘いながら立派な楽団に成長したことに安堵する。かの子は赤ん坊を背に、人々の心に美しい音楽を伝えるため歩き続けるのだった。

Ai


   コメントは『百聞は一見に如かず


AI採点は質の悪い冗談

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        国立情報学研究所教授
        新井紀子さん








 国立情報学研究所教授の新井紀子さんは、東大合格をめざす人工知能(AI)のプロジェクトを率いている。先週の日経新聞に掲載された、新井さんのインタビュー記事には驚かされた。

 ▼AIといえば先頃、世界トップ級の囲碁棋士に五番勝負を挑んで、見事勝利を収めている。プロに追いつくのは早くても10年先といわれていただけに、その発達の速さには驚かされた。記事も、東大入試の突破も間近といった内容を予想していたら、違った。

 ▼確かに「東ロボくん」と名付けられたAIは、昨年のセンター試験模試で偏差値58を記録した。多くの国公立大や私大の合格水準に達している。ただ東ロボくんは、計算や暗記が得意でも、文章を理解するのは苦手である。

 ▼にもかかわらず、成績がよかった理由は何か。他の受験生の日本語力のレベルが、より低かったからだという。新井さんたちは早速、中高生を対象に調査を行った。実は半分くらいの生徒は、教科書の文章を読めていなかった。

 ▼東大の受験生レベルなら大丈夫ではないか。新井さんによれば、その想定も甘い。東ロボくんは、東大実戦模試の世界史の論述問題でも、平均点を上回っている。教科書会社が、検定中の教科書を教員らに見せて、謝礼を払っていた問題が取りざたされている。採択の公平性以前に、教科書はより深刻な事態に直面していたわけだ。

 ▼文部科学省の専門家会議では、現在の大学入試センター試験に代わる新テストについて、議論を重ねてきた。最終報告書によると、新たに記述式が導入され、採点にはAIが活用される。日本語を理解しているとはいえないAIが、教科書も読めない受験生の文章を評価する。質(たち)の悪い冗談としか、思えない。【産経抄】

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          コメントは『言わぬが花』


魔界のみずうみ

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    ノーベル文学賞作家の川端康成に「伊豆の踊子」
    「雪国」など叙情的な小説とはまったく趣の異なる
    作品がある。主人公は高校教師で中年男性という
    設定の「みずうみ」だ。





 ▼美少女を見ると憑(つ)かれたように後をつけてしまう男は教え子と恋愛事件を起こして教職を追われるが、異常な癖は治らない。つけられることに快感を覚える女の魔性と罪悪の意識のない男の欲望が交錯する中編は、ストーカーという言葉のない時代に執筆された。

 ▼「みずうみ」を収録した新潮文庫の裏表紙には「異色の変態小説でありながら圧倒的筆力により共感すら呼び起こす不朽の名作」とある。常人に理解不能の心の闇を描きながら文学としての魅力をはらむのは川端ならではのことだろう。

 ▼埼玉県朝霞市で中学1年だった女子生徒が行方不明となり、2年ぶりに都内で保護された。警察は先日、未成年者誘拐の疑いで容疑者を逮捕した。女生徒は容疑者が外出した隙にマンションから逃げ、近くのJR駅の公衆電話から110番して、保護された。

 ▼実生活において川端自身、足の裏など女性の体の部分を偏愛し、特異な愛着を示した。これはフェティシズムという病的症状だが川端はあくまで魔界とは無縁の紳士的な文学者であった(岩波明著「精神科医が読み解く 名作の中の病」)。

 ▼つけられることに快感を覚える人間は現実社会にはいない。まして監禁など恐怖以外の何物でもない。女生徒を魔界に誘い込みながら、魔界とは無縁の常人を装った容疑者である。もし、罪悪感があるなら全てを詳(つまび)らかにせねばならない。  【くろしお】

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 Yubi

    このコラム『起承転結』素晴らしい!






『みずうみ』 トップカスタマーレビュー

汚れ無き美   投稿者  ヤキソバ

 ☆表現そのもの美しさに加えて、少女の汚れの無い美しさを感じる。それは、具体的にどういう部分が美しいというよりも、醸される雰囲気が美しい。その美しさは、まるで、幻想の中を、のたうちまわっているかの様だ。

 ☆銀平の意識そのものも美しい。奇妙な思考が、少女の美をとらえて離さない。宮子自身も快楽を感じた。宮子は銀平につけられる事によって、突発的な快感に戦慄する。この下りにより、宮子の美しさが増幅される思いだ。

 ☆銀平は少女の眼にみずうみを見る。女の眼が、愛にうるんでいる様が、こんな風に表現される。そして、銀平は、そのみずうみに、裸で泳ぎたいという憧憬と絶望を同時に感じる。

 ☆夢遊病の様に少女の後をつける銀平により、少女の美があらゆる角度から表現される。みずうみとは、意識の底に沈んでいる、手の届きにくい美なのだろうか?独特な美しさに満ちた、川端文学の傑作だ。

史上初(?)のストーカー小説  投稿者  minoru223 

 ☆川端康成の小説はどれも薄くて短時間で読めるのが魅力です。本作も150ページしかありません。ストーリーが尻切れトンボに終わるが故の短さなのですが、その尻切れトンボさが、作中人物の人生がまだまだ終わらないことを暗示しているようで小気味よいです。

 ☆本作の『みずうみ』というタイトルからは叙情に満ちた美しい小説を連想したのですが、中身はその印象とは全然違います。これはストーカーを扱った当時としては珍しいタイプの小説です。もちろんストーカーなんて言葉は出て来ませんが、気に入った女性を見かけると後をつけずにはいられないという奇妙な性癖を持つ主人公は、明らかに今で言うストーカーです。現在のシーンと回想シーンが切れ目なく交錯する実験的な小説手法も興味深いです。

絶品   投稿者 青木星斗

 ☆構造的に時空というか小世界があっちらこっちらに飛んでゆく。それでいて意外なところでそれらの小世界はつながったりして、それを語る文章は、哀しげに病的なものであり、一種痛切な、人が生きていることの根本にある郷愁を表現しているかのようだ。

 ☆ものすごく上手い小説だと思う。川端康成の表現には常に冥界へと読者を誘導してゆくようなところもあるが、これは特にその傾向が著しく、ロマンチックと言えばそうなのだが、それではおさまらない深淵が存在するようで、それでいて気持ち悪くならない。何やら無常観さえ漂っている日本式のヌーヴォー・ロマンとも言えるような。

 ☆西洋で発達した現代小説の手法が日本で消化吸収されて生まれ変わったのだろうか。あるいは日本のもともとの妖しげな伝統が生まれ変わったのか。いずれにせよ絶品であり、ナボコフとかとも底の方で響き合っている。

未来の作家へ

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   左側:星新一さんの短編小説「処刑」。
   右側:「星新一賞」受賞作「イッシントウケイ」
       著者:神山帆高さん

 

 赤い砂の星に、銀色の玉と共に送られた男。玉にあるボタンを押すと水が出るか、爆発する。さて男はどうするか

▼残酷に思える未来の極刑を描いた作家、星新一さんの短編小説「処刑」。代表作にも挙げられるこの物語に星さんならではのどんでん返しはない。だが玉や処刑の意味、男性の行動など考えさせられ、深い余韻を残す

▼星さんの名前を冠した「星新一賞」のジュニア部門で那覇市立城北中学校3年、神山帆高さんの作品が準グランプリに輝いた。受賞作「イッシントウケイ」も未来社会のある刑罰を取り上げている

▼しっかりした文章に促され読み進め途中で、思わずあっと声を上げる。テーマと結び付いたどんでん返し。表題の意味も最後に分かる仕組みで、失礼ながらこれが中学生の発想かと驚いた

▼受賞作は面白いだけでなく犯罪被害者、刑の在り方、「相手の立場に立って考える」大切さなどいろいろ考えさせられた。物語に引き付けられ読み終えた後、書かれたテーマについてさらに調べたいと思うことがある。それもフィクションの楽しみの一つだろう

▼審査員の一人は神山さんの「次の作品を読んでみたい」と評した。神山さんも「文学賞に挑戦したい」と意欲的だ。ミステリーやSFなどの分野でも県出身の作家が多く活躍するが、新たな才能の誕生を喜びたい。神山さんが紡ぐ物語が楽しみだ。<金口木舌>

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トップカスタマーレビュー

ショートショート  投稿者  いっきー 

◆星新一の小説、ショートショート。この本には42編の作品が収載されている。星新一の本は読みやすく、飽きやすい僕にも最後まで立ち止まらずに読むことができた。作品中で特に印象に残ったのは、「処刑」と「殉教」の二作品。他の作品では、ショートショートならではのあっと驚く結末、そしてどんでん返しという形で僕は楽しんだが、この二作品は、大どんでん返しというよりは、強いメッセージ性を感じた。

◆僕は自分のかんじた事を言葉にするのはとてもへたくそなので、何がいいたいかを考えたり、レビューに書くのはふさわしくないと思うからあえて言わないが、興味のあるかたは読んでみるのもいいと思う。

近未来の世界に【杞憂】している。 投稿者 珍念

☆処刑」はよく出来たストーリーである。ショートショートいうにはちょっと長く、素直に短編と呼ぶべき長さだ。星新一ベスト1に輝いた有名な作品なので、あちらこちらにあらすじが露出しているが、重複覚悟で以下に綴りたい。

☆未来の地球。公共サービスの機械化が果てしなく進み、犯罪者に判決を下す司法も機械化されている。民衆への見せしめ目的で、犯罪者により重刑を下すために機械は日々調整され、犯罪者たちは例外なく赤い星へと送られる。

☆赤い星は資源を採掘し尽くされ渇き切った死の星である。処刑判決を下された犯罪者がパラシュートで死の星へと下ろされてくる。彼も前の犯罪者と同じように銀色の球体を持参している。この球体こそ、犯罪者に罰を下す恐るべき処刑マシーンである。

☆赤い星は水が枯渇しており、犯罪者とて生きるためには水を飲まなければならないが、大気から貴重な水分をあつめて水にしてくれるのがこの球体である。一つだけついているボタンを押すと、球体に格納されているコップに水が注水され、その水を口にすることができる。当然、コップ一杯の水では渇きは癒せないが、実はボタンを押すことで内部にセットされた小型原爆が爆発する仕組みになっている。

☆何度目にボタンを押すと爆発するのか。それは誰も知らない。つまり運よく一回目で爆発する場合もあれば、運悪く何年も爆発しない場合もある。つまりいつ執行されるかわからない処刑を、渇きと天秤にかけながら、受刑者はボタンを押す。運がよければ水が飲めるし、運が悪ければボン!だ。

 ☆水か死か。命がある限り責めは続く。ところがある日、受刑者は別の受刑者と出会い・・・

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   衝撃の結末は、ご法度です。あっと驚く{びっくりぼん}



カエルの楽園

        
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     決して争わないという「三戒」を守ってきた
     楽園のカエルたちが強力な国の侵略を受ける。

      喧々囂々(けんけんごうごう)の騒ぎを繰り返し
      た末の運命は。百田尚樹氏の『カエルの楽園』
      は大人のための寓話(ぐうわ)である







◆内容は安保関連法制定に伴って起きた憲法論議をほうふつとさせる。実際に平和を守っていたのは空を飛ぶワシだった。三戒の信奉者は危機に瀕(ひん)してもそれを認めようとしない。著者の好き嫌いはあるだろうが、県内の書店でもベストセラーになっている

◆カエルたちが「話し合いで解決できる」「平和を愛する気持ちがあれば、争いは起きない」などと言い募っているうちに状況は悪化。巧みな弁舌の扇動者、それに乗る同調者や外部の潜入勢力なども登場する。演じられる悲喜劇は身につまされるところがある

◆最初はメールマガジンの読者に向けて発表されたものらしい。大人が読むにふさわしい物語になったのはカエルたちの多様な個性だろう。衝撃的な結末まで読み通して思ったのは、自分もこのカエルたちの中の誰かだということである

◆安保関連法が施行し、再び街頭で反対デモが繰り広げられている。「平和とは何か」をめぐる論議はカエルの国のように交わることなく、むなしく終わるのだろうか。寓話は含蓄に富んでいる。ただ、悲喜劇は物語の中だけでと願わずにいられない。【有明抄】

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      対案を示さず 反対・反対と叫ぶ。
     最大の悲劇は、良心的な愚かさに
     よってもたらされる


『カエルの楽園』  商品の説明 内容紹介

◆最大の悲劇は、良心的な愚かさによってもたらされる。ベストセラー作家が全力で挑んだ、衝撃の問題作。安住の地を求めて旅に出たアマガエルのソクラテスとロベルトは、豊かで平和な国「ナパージュ」に辿り着く。

◆そこでは心優しいツチガエルたちが、奇妙な戒律を守って暮らしていた。
だがある日、平穏な国を揺るがす大事件が起こる――。

トップカスタマーレビュー 無知な良心は不幸だ。 投稿者  神藤恭介   

「最大の悲劇は、良心的な愚かさによってもたらされる。」
作品の骨子は多くのレビュアーが語っており、あえて言及はしない。
この優れたキャッチコピーが全てを語っている。

 著者がこの作品を書き上げた時、胸に去来するものはなんだったのだろう。
想い吐露しきった満足感か、それとも、無知な良心に対する無力感か。




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