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眼球 (@_@)

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  「人間の眼玉は、風景をたくわえる事が出来(でき)る」。太宰治が短編「雪の夜の話」につづる。見つけたのは医師。難破船の若い水夫を解剖して顕微鏡で調べた網膜に、美しい光景が映るのに気付いた

▼そんな不思議で夢のある物語を思い出したのは「女児の眼球 両親に返還へ」という記事を目にしたからだ。30行ほどの小さな扱いだったが、「異例」の見出しに引き込まれた

▼生後2カ月の女児は自宅で意識を失い、搬送先の病院で死亡が確認された。死因を特定するため警察は司法解剖し、両目を摘出した。両親は遺体が自宅に戻ったときに目のことを知る。耐えがたい悲しみだったに違いない

▼その後、病死とわかったが、警察は再鑑定に備えて保存を続けた。事件性がなく、両親が再三にわたって「返してほしい」と強く要請したけれど、警察はなかなか応じなかった

▼前例がなかったからか、多忙だったからか。いや根本は、両目が両親にとってかけがえのない娘そのものなのに対し、警察が「もの」として扱っていたことにあるのではないか

▼太宰治の物語は続く。水夫の網膜に映し出されたのは直前に見た一家団欒(だんらん)の様子だった。わずかな時間でこの世を去った女児。その網膜にたくわえられたのも、優しい瞳でのぞき込む母や父の笑顔だっただろう。 【凡語】

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Kuri2                         

       〝珍念〟感動しました・・・・
        コラムニストの筆致は、素晴らしい!

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