「策士」

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 「策士策に溺おぼれる」一将功なりて万骨枯る!

 

「策士」とは策略に巧みな人のこと。巧みだから好んで事を企(たくら)む(『広辞苑』)。
自信たっぷりに計略を巡らし、相手をまんまと術中にはめてはしたり顔でほくそ笑む

▼だが、裏目に出れば「策士策に溺おぼれる」の諺も。事はそう策略通りにはいかないとの戒めか。忘れもしない一昨年9月、臨時国会冒頭解散の翌日、小池百合子東京都知事が新党「希望の党」の立党を宣言した

▼安倍首相はじめ与野党が上を下への大騒ぎ。民進党との合流で政権奪取さえ囁(ささや)かれる中、小池氏が「全員受け入れる気はさらさらない」と“排除発言”。この一言で壮大な策略は一瞬にして水泡に帰してしまった

▼腹の内が見透かされると瓦解(がかい)は一瞬だ。自信満々の策士がもう一人。韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は南北融和を掲げ、米国と北朝鮮の“仲介者”を務めようと孤軍奮闘するも、肝心の米朝からはなぜか総スカンらしい

▼先週の米韓首脳会談はわずか2分。トランプ大統領は握手を無視、わざと視線をそらし終始仏頂面を貫いた。夫人同伴で勇躍訪米した文氏だったが、門前払いも同然の冷遇に作り笑顔で取り繕うのが精一杯だった

▼北も“巧言令色の仲介者”を見限り、中ロの後ろ盾を望んでいる。日本を外して北と米国の二兎を追う文氏の策略はどうやら裏目のようだ。無為無策もだが才に溺れ過ぎるのも困る。外交と言えど策略や権謀術数だけでは動かないようだ。【天鐘】


孫子曰く

● 彼を知りて己を知れば、百戦して殆(あや)うからず。
  彼を知らずして己を知れば、一勝一負す。
  彼を知らず己を知らざれば、戦うごとに必ず殆うし。

 相手を知って自分のこともわかっていれば、百度戦っても危ないことはない。
相手のことはよくわからないとしても、自分のことがわかっていれば、勝ったり負けたりということになるだろう。相手のこともよく知らない、そして自分のこともわからないという状態であれば、戦いの度に、決まって危険な目に陥ってしまう」――ということになる。

 小池百合子さんは『策士策に溺れる』
(孫子の兵法)を、お忘れのようだ
 稀代の風見鶏も風を読み切れなかった。
 これ以上は『蛇足』

嫌な気分になるが、米国にはこんなジョークがあるという。

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「日本人のスピーチがあるって? 胃の薬を持って行かなくちゃ」
お分かりかもしれない。食後のスピーチで面白くない話を聞かさ
れると消化に悪く、そのために…。
 
 外山滋比古さんが「ことば点描」で紹介している。明治期以降、西洋の文化や思想を取り入れるため日本人は書物を翻訳して必死に学んだ。勢い、会話やスピーチは二の次になる。そんな傾向が長く残ったためジョークの種にされたのかもしれない。
 
 「読む・聞く・書く・話す」の英語教育のうち、「話す」が課題という指摘が以前からある。英会話教室が各地にでき、中学や高校の教員が英語で授業する時間も徐々に増えている。しかし、受け答えが大事な会話は、当方を含めて腰が引けるという人が多い。
 
 英語が初めて加わった全国学力テストがきのう行われ、県内の中3生も「話す」などの試験に臨んだ。会話はパソコンに音声を録音する方式だった。機器相手に実力は発揮できただろうか、評価も気に掛かる。
 
 5年前、17歳でノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんが先月来日した。「ペンは剣より強い。1冊の本、1本のペンが世界を変えられる」―国連スピーチは多くの人の心に残る。
 
 決して流暢(りゅうちょう)な英語ではなかったかもしれないが、言葉は色あせない。「話す」とはどういうことか伝えている。【小社会】


 

スピーチと私  雄弁術とは・・?

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 筆者は日々色々な人たちと対話を交わしていますが後で、あの時はよけいな事を また、大事なポイントを言い忘れていたり、毎回反省しています。スピーチの時、聞き手は話す人のどこに好感をもっのか・・?

 話の内容より、その人の「態度」というから面白いです。人間の五感のうち、視覚の占める割合は80%を超すという。
つまり、初対面の第一印象は視覚で決まるといってよい。専門家の分析によると、印象に残るのは「表情、声、言葉、」の順。 

 スピーチには、明るい表情と元気な声が不可欠である。代ギリシャの雄弁家デモステネスは「雄弁術とは?」と問われ「一にも態度、二にも態度、三にも態度」と答えている。演壇まで歩く姿、お辞儀の仕方、話す態度なども含め、スピーチは全人格の表現といえる。

 話術より、まずは人格を磨くことが大切だ。 そのうえで、話はムダを省き、短くまとめたい。長い退屈な話は”口害”ともいわれる。 ゲーテも 「美しき虹も、15分も 消えずにいればもうだれも見向きもしない」と手厳しい。

 スピーチに備え、せっせと”話の小銭”を蓄える人がいる。日頃感銘を受けたことを一、二、三、分の話にまとめておき、持ち時間にあわせ、組み合わせを考えるという。 これで時間オーバの心配もない。 日々の努力が、その道の「達人」を生むものである。

「真の雄弁術は、口先ではなく、知性のみでもない。胸と腹と頭と全身全霊をかけた正義への戦いである」との指導もある。
こちらに真剣な思いありてこそ、話は相手の胸をうつ。凍てついた心も溶かしてゆく、温かい励ましの対話を

【一言居士】の(珍念)反省し、恥じている。

福山ブランド

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 付き合っていた相手が次々と3人も亡くなる。しかも彼女たちが生きていた
痕跡さえ消されているとしたら…。混乱する主人公になった気分で、あっと
いう間に238ページを読み終えた

▲ばらのまち福山ミステリー文学新人賞の第11回受賞作「幻の彼女」である。定番の殺人事件もないのに思いも寄らない結末にたどり着く。最先端医療を絡めた仕掛けに、選者の作家島田荘司さんは「ミステリーに新たな項目が加わった」と激賞する

▲読みやすく、地元書店ではフィクション部門の売り上げトップに。主催した市もしてやったりだろう。自治体が長編小説を公募する全国初の試みも今や、すっかり福山の文化として根付いた感がある

▲全国的な知名度という点で、隣の「映画の街」尾道に一歩譲ってきた。知名度アップには、47万人都市の意地が懸かる。地元出身の島田さんが力を貸した「福ミス」は、そうした「都市ブランド戦略」の一つでもある

▲ブランドの語源は、家畜の焼き印だという。野っ原に放牧されている中から、持ち主が見分けやすくなる。牛肉なら神戸や松阪、レモンなら広島というふうに、ミステリーなら福山と、もっと多くの人の頭に焼き付けたい。【天風禄】


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 このコラム『言い得て妙』


「幻の彼女」あらすじ

ドッグシッターの風太に一通の喪中はがきが届く。以前交際していた美咲の訃報だった。まだ32歳なのにと驚く。ほかの別れた恋人、蘭、エミリのことも思い出し連絡を取ろうとするが、消息がつかめない。
 別れたとは言え、三人は風太にとって大切な女性だった。彼女たちに何が起きているのか。いてもたってもいられない風太は三人のことを調べ始める。彼女たちの友人、住んでいた家、通っていた学校。しかし、彼女たちはまるで存在しなかったかのように、一切の痕跡が消えてしまっていた。
 あり得ないことに激しく動揺し、混乱する風太。消耗しつつも、彼女たちの生きた証を捜し続けるが・・・。【百聞は一見に如かず】


 

石川五右衛門と・ルパン三世

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  大泥棒の石川五右衛門は謎の多い人物である。 歴史学者の磯田道史さん
は、五右衛門と細川家、後の熊本藩との関わりは深いのでは、と書いている


▼『一色軍記』という書物によれば、京都府北部にあった城の城主で明智光秀方についた五右衛門の父は細川家に討たれた。五右衛門は細川家や、光秀を討った豊臣秀吉を恨み、豊臣系大名の御殿を狙って財宝を奪ったという(『歴史の愉[たの]しみ方』中公新書)

▼権威、権力に反抗する五右衛門の姿は義賊として大衆の心をつかんだ。そうした系譜に連なるのが、漫画の「ルパン三世」ではなかろうか。神出鬼没の怪盗の活躍に胸躍らせた方も多かろう。魅力的なキャラクターを生み出したモンキー・パンチ(本名加藤一彦)さんが亡くなった。81歳だった

▼北海道東部の霧多布[きりたっぷ]生まれ。地名の通り、1年の半分が霧で、布団を干しても濃霧や潮風で湿ってしまうような土地だった。子どものころから漫画を描くのが大好きで、地元の高校を卒業後、上京。新聞販売店で働きながら描き続けた

▼米国の漫画雑誌『MAD』の影響を受けて誕生したのが「ルパン三世」だった。テレビアニメ化され徐々に人気が高まったが、当初は自作のスピード感とリズムをアニメで表すのは絶対無理、と思っていたという(桐山秀樹著『マンガ道、波瀾[はらん]万丈』徳間書店)
▼個性的な登場人物が躍動する「ルパン三世」は、世代を超えて愛される作品になった。それは作者が私たちの「心を盗む」大泥棒だったから、かもしれない。【新生面】


コメントは『蛇足』

 

今太閤(たいこう)といわれた、故田中角栄元首相,

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 3年ほど前、故田中角栄元首相を扱う「角栄本」がブームになった。今でも書店をのぞくと、平積みとは言わないまでも、それなりの数を用意してある。需要は続いているのだろう。

 むろん、今太閤(たいこう)といわれた首相就任時の栄光から、金脈問題とロッキード事件で奈落に落ちた政治家だ。光と闇が同居する。それでも人々の記憶に残るのは、今の政治家にはない行動力と、言葉による人心掌握術に、政治の熱を感じさせるからかもしれない。

 44歳で蔵相に就き、官僚に行った訓示が知られる。「私は素人だが、とげの多い門松をくぐってきて、いささか仕事のこつを知っている」「できることはやる。できないことはやらない。しかし、全ての責任はこの田中角栄が負う。以上」。

 衆院に初当選した後、国会で政治家の言葉の重みを説いた語録もある。「議員は1人というも背後に15万5千人の国民大衆があって、この発言はまさに国民大衆の血の叫びである」。

 安倍内閣で、言葉をなりわいとする政治家とは思えない発言が相次ぐ。忖度(そんたく)発言の国土交通副大臣、震災復興より自民党議員が大事と言い放った五輪相が職を追われた。五輪相に至っては閣僚どころか、なぜ議員になれたのか理解に苦しむ資質だ。

 任命責任とは何かと思う。自民党幹部は、首相が責任を認め謝罪したので、それ以上はないと言う。言葉も責任も何と軽いことか。かくして政治は劣化する。【小社会】


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珍念の脳裏に故田中角栄氏の言葉が思い浮かぶ!

借り物でない 自分の言葉で、全力で話せ。
そうすれば、始めて人が聞く耳を持ってくれる。

 理論武装した気弱なブレゼンと、根拠薄弱でも自信に満ちたプレゼンとでは、
後者に軍配が上がることのほうが多い。人が相手のゆうことを信じるかどうかは
要は伝える人が、思いを自分の言葉にできているかどうかなのだ。

 豪胆な性格、手腕で、日本を大きく変革した元総理大臣の言葉は、自信あふれる
言葉の強さを教えてくれている。

 国政選挙が終わると、いつもいわれる話がある。「国民がこの程度だから選ばれる
国会議員のレベルもそれに相応している」という話である!


「さよならテレビ」、とテレビが言う。

   
     
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            東海テレビが制作したドキュメンタリー番組のタイトルである。
            東海エリアで昨年9月、1度放送されただけなのに、手から手
            へとDVDが渡り、口コミで議論が広がっている

▼土方(ひじかた)宏史(こうじ)ディレクターが社内にカメラを向ける。上司が「勝手に取材対象にされてる」「やめろ」と怒る。視聴率アップと残業代カットが同時に命じられる。舞台裏の矛盾と苦悩を生々しく描く

 ▼前代未聞の番組作りを、それでも「ぬるい」と言い放つのは被写体の一人である澤村慎太郎ディレクター。「現実を都合よく切り取って、テレビ的現実を生産してるだけじゃないか」。そのシーンもまた、番組に収める

 ▼人間が取材テーマや相手を選び、番組に仕上げる以上、純粋な客観報道はあり得ない。必ず作り手の意図が入る。そのことを徹底して、正直に、告白する

▼新聞を含むマスコミは逆に「客観中立で、常に事実と正論を語る」という自画像を描き、自ら縛られてきた。インターネットの普及などでより多様な情報に触れた市民が不信を抱き、離れていったのは当然なのかもしれない

澤村ディレクターは今、「番組はメディア再生の試みだと受け止めている」と話す。さよならマスコミ、さよなら予定調和、さよなら自主規制。こんにちは、自由で新しい表現。【大弦小弦】


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「平成猿蟹合戦図」

 

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 芥川賞作家吉田修一さんの小説「平成猿蟹合戦図」(朝日文庫)は、大館市が
主要な舞台の一つとなっている。東京・新宿の飲食店に勤務する若者が、思わぬ
ことから古里大館市に戻って、衆院選に出馬する物語である。大館市の風景や
方言が随所に登場する

▼「二年前に帰ってきた時より、ますます寂れてしまったじゃ。元々シャッター通りだったばって、そのシャッターもボロボロめでらもんなぁ」と中心商店街の衰退を若者が嘆いている。地域のお年寄りしか話さないような方言に、読者は理解できるのかと心配してしまう

▼市民会館での討論会の場面も出てくる。「この地域に必要なのはまず雇用じゃないでしょうか」「大きな観光資源になるものがあるのに、なぜ活性化できないのか」との市民の声が響く

▼同書は2011年に刊行された。小説の世界のことであり、単純に比較できないが、作中で指摘された課題のほとんどは大館市はもちろん多くの地方に今も当てはまることに気付かされる

▼統一地方選の後半戦がスタートした。県内で唯一の市長選が行われる大館市では、再選を目指す現職と新人の一騎打ちとなった。人口減や少子高齢化、産業振興などをテーマに激しい選挙戦が繰り広げられている

自らが住むまちの活性化、発展のためには、有権者一人一人が政治に関心を持つことが不可欠。「誰がなっても同じ」という考えでは何も変わらない。候補者の声に耳を傾け、貴重な1票を行使したい。 【北斗星】

 


 

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珍念『平成猿蟹合戦図』吉田修一著を、読みました
コメントは、喜久屋書店宇都宮店 大牧千佳子さん
の言葉を紹介します!
 

 いやあ、面白かった。こんなスカッとする小説は久々かも。

『悪人』(朝日文庫)でひとつの事件に関わる人々ひとりひとりの心情を緻密に描き、重厚な物語へと読者を飲み込んでいった著者が、今度はその緻密さを持ちつつ読者の心を爽快な秋晴れの空へと打ち上げてくれるような気持ちの良い小説を書きました。
  それがこの『平成猿蟹合戦図』(朝日新聞出版)なのです。

 舞台は歌舞伎町。ホストやバーテン、クラブのママやホステス、裏社会を生きる人々、と書くと、なにやらギラギラした「のし上がったるぜ」なお話になりそうですが、そういう感じでもない。でてくる人たちみんなどこか人がいい。最初は歌舞伎町のお話が、長崎県の福江島にとんだり、最後には秋田県大館市にいっている。それぞれのお国ことばにほっこりさせられつつ彼らの縁がカチリカチリとはまっていくのを俯瞰でみせてもらっているのが実に愉快なのです。下は0歳から上は96歳まで。年齢も性別も職業もさまざまな人々でありながら、著者は彼らを実にいきいきと動かしていきます。

 たとえばサワおばあちゃん。登場人物中最高齢の御年96歳。秋田の大館市で一人暮らし。月に一度保育園で昔話を聞かせている。このサワさんが痛快だ。いつも行っているデイサービスの施設で、慰問にきた地元代議士にうわべだけのニコニコした挨拶をされたときのサワさんの反応が見ものだった。いや、サワさんは不愉快だったんだろうけど、私は読んでいてニヤリとしてしまいました。

 サワさんが物語の中で「スカッどする話さは毒っこ入ってらど」というとおり、この物語の背景には悲惨な事件とその報復、犯してしまった罪の苦悩が描かれています。そこがきっちり影を落としているために、人々のたくましさや明るさがより一層際立ち、善悪のものさしでは測れない複雑な感情が沸き起こってくるのです。

 そんな感情をもつ登場人物のこころのことば。それを丁寧に拾い光をあてて表現していくのがこの著者のすごいところだなあと思います。

 そう、『悪人』はもちろん『さよなら渓谷』(新潮文庫)もことばにしようがない感情をしっかりと小説にまで押し上げている作品でした。『横道世之介』(毎日新聞社)はもう知り合いだった気さえします。

 猿蟹合戦のお話は蟹が臼や栗たちの助けをかりて猿を懲らしめるお話ですが、なぜ猿が懲らしめられることになったのか。そこを踏まえて、ぜひ、読んでいただきたい一冊です。

映画「道」

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    イタリア映画の巨匠フェデリコ・フェリーニ監督の代表作に「道」がある。
    1954年の公開だが、人が生きる意味について静かに問いかける名作だ







◆この世で何の役にも立たないと思う娘ジェルソミーナ。粗野な大道芸人ザンパノと出会うが、ザンパノもまた孤独だった。ジェルソミーナはザンパノにつらい扱いを受けるが、彼のそばにいてあげられるのは自分しかいないと一緒に旅をする。それが彼女の「道」だった

◆この映画のテーマ曲を作曲したのが同じイタリアのニーノ・ロータ。10日は彼の没後40年にあたった。「道」「ロミオとジュリエット」「太陽がいっぱい」「ゴッドファーザー愛のテーマ」など多くの名曲を残した。音楽を聞くたびに映画の名シーンがよみがえる

◆「道」は、フィギュアスケートの高橋大輔さんがバンクーバー五輪で銅メダルを獲得した時の演技で使っていた。トランペットの切ない旋律と道化の動きを取り入れた印象的なステップを記憶している人も多いかもしれない

◆高橋さんは五輪後に引退したが、昨年復帰した。引退後に米国に留学し、すさんだ生活を送ったこともあったそうだが、自分を見詰め直す契機になったという。映画に「小さな石でも何かの役に立っている」というせりふがある。自分なりの道を探す旅が生きることなのかもしれない【有明抄】


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故・米沢冨美子さんの言葉が、脳裏に思い浮かぶ!

物理学者の米沢富美子さん。研究と3人の子育て、乳がんとの闘い、母の介護……困難に負けず女性初の日本物理学会会長になるなど、女性科学者のパイオニアだ

▼彼女は「めげない」「優先順位をつける」など、人生のモットーを五つに要約。その第1に掲げたのが「自分の能力に限界を引かない」。自分には無理と「可能性を限ってしまうのは、自分自身に対する侮辱」「人間のほんとうの底力なんて、じつは本人にも把握できていない」(『まず歩きだそう』岩波書店)

▼限界を決めるのは、他の誰でもない。“後ろ向き”の自分自身だ。弱気を打ち払い、挑戦を貫くことで、成長もある。新たな扉を開くこともできる

▼骨肉腫が再発し、高校時代に、左足を切断した女性に話を聞いたことがある。創価大学に進学し、義足と松葉づえで雨や雪の日も通い抜いた。海外への一人旅も。自分で限界の線を引きたくなかった。卒業後は大手都市銀行に就職。信頼も厚く、なくてはならない人に。両足があったら今より人生は良かったか。彼女は首を横に振る。「苦難と戦うからこそ充実感が生まれる」と

 これ以上(減らず口)を叩くと、閻魔さまから叱られる 😖
 

 

 

天地がひっくり返っているつぼ

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つぼを買いに来た男が、道具屋の店先に伏せて置かれているのを見て怒っている。
江戸の小咄(ばなし)である。「こんな口のねえつぼがあるものか」。ひっくり
返すと「底も抜けてる」。宇野信夫さんの『江戸の小ばなし』に学んだ

▼次から次に失言が漏れ出てくるさまは底無しで、反省を促す苦い水だか、繰り返さないための知恵の水だかを注ごうにも、口が開いていない。五輪相を事実上更迭された桜田義孝さんに、天地がひっくり返っているつぼを思い浮かべた

▼就任以来、さほど間を置かずに問題発言を連ねてきた人である。所信説明で誤読を連発したり、五輪経費の関係の千五百億円を「千五百円」と言ったり。笑い話として聞き流せるものもある

▼ただ、耳をふさいでいるのか、開き直っているのか。批判されては、次が漏れてくる。単なるうっかりならば、これほどはないだろう

▼そして今回である。復興を軽んじた。うっかり出てくる言葉と思えない。病と闘う池江選手に関する発言は一度批判されている。なのに、再び持ち出した。笑いを取ろうとしたか。反省があれば、ぜったいに出てこないはずの表現だ

▼一強の政権の底にはひびが入っているようで、失言での辞任は短期間に二人目である。ことわざに「空だるの音は高し」という。適材適所だったはずの内閣をたたいてみれば、耳をふさいでも音が聞こえそうである。【中日春秋】



   [言葉の裏には、血を流さずに人を殺す竜が潜んでいる]

 

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 人間は口のなかに猛獣を飼っているらしい。「口の虎は身を破る」といえば言葉を慎まないために
身を滅ぼす大事にいたることだ。人に愛を伝え、勇気を与え、希望をもたらすことのできる言葉と
いうものが、操りそこねると凶暴なけだものとなって災いを巻き起こす。

 思考には気をつけよう。いつ口に出してしまうか、わからないから。─イアラ・ガッセン

いつも考えていることは、何かの拍子で口に出してしうまうことがある。
気をつけなければいけない。

     『一言居士』の珍念 反省し、恥じている 。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・

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▼▽医学界で笑いの効用に関する研究が盛んだ。大阪国際がんセンターは患者に落語や漫才を定期的に観賞してもらい痛みや認知機能の改善を確認した。血液検査では免疫機能を高める物質の能力も向上していたという。

▼▽将来、笑いで治療を施す医師が登場するかもしれない。となればこの人が先駆者と讃(たた)えられよう。「医事漫談」を確立したケーシー高峰さん。最上町の医者の家系に生まれ医学部に進んだが途中で芸の道へ。白衣で医学用語を板書するスタイルの源をたどれば古里に通じる。

▼▽公演先の楽屋でインタビューしたことがある。芸人の矜持(きょうじ)や葛藤などを引き出そうと勇んだがケーシーさんは舞台上と全く変わらず、真面目な返答をいつの間にか男女の艶話にすり替える。出番直前まで1時間超、たっぷり笑わせてくれた。今思い出しても肩の力が抜ける。

▼▽客席の過半を占めていた女性たちは涙を流して手をたたいていた。公演後に破顔したケーシーさんの言葉が忘れられない。「見だが? かあちゃんたちの笑い顔。あれが見だくてやめらんね」。享年85歳。板書するチョークの音と大勢の笑い声が彼岸の舞台にも響くだろう。【談話室】


Egao

  斯く言う(珍念)笑いを届けたい!

«〈もつ人の心によりて宝とも仇(あだ)ともなるは黄金(こがね)なりけり〉